2012 Fiscal Year Research-status Report
皮膚由来前駆細胞を用いた糖尿病性潰瘍の新規治療法開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
23592645
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
蛯沢 克己 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20397459)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 秀吉 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (70528968)
亀井 譲 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10257678)
鳥山 和宏 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40314017)
八木 俊路朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00378192)
|
Keywords | 皮膚由来前駆細胞 / 糖尿病性潰瘍 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
本研究では、自己幹細胞源として皮膚由来前駆細胞(SKPs)を用い、糖尿性足潰瘍の根本的治療法としての可能性を検討した。昨年度は細胞増殖の問題で、サンプル数が確保できなかったため、本年度も追試を行った。糖尿病性マウス(C57BLKS/J Iar-+Leprdb/+Leprdb)の皮膚を採取し、Toma らの方法(Nat Cell Biol. 3(9):778-84,2001.)にてマウスSKPs を得る。非接着性のフラスコにて培養を行い、第一継代した細胞を実験に使用した。本細胞が糖尿病性潰瘍に与える影響を検討した。皮膚潰瘍動物モデルは、Galiano らの報告(Wound Repair Regen.12(4):485-92,2004.)に従い、糖尿病マウスの背部皮膚に8mmのバイオプシーパンチにて全層皮膚欠損を2か所作成し、創収縮を予防する目的で16mmのシリコンスプリントをアロンアルファで接着し、5-0ナイロン糸にて縫合固定して作成した。細胞移植群にはPKH26にて標識化されたマウスSKPのPBS懸濁液を、対照群はPBSを注入し、フィルムドレッシングにて創部を被覆した。創部は経時的にデジタルカメラで撮影し、定量解析にはImage Jを使用した。創閉鎖に関しては、昨年度と同様実験群で創治癒が促進され、再現性が示された。組織学的には注入後28日目では毛細血管密度に有意差を認めなかったが。注入後10日目の標本では実験群で優位に毛細血管数が増加していた。同標本で神経線維数を確認したところ、実験群で増加していたものの、対象群間とは統計学的有意差を認めなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
注入後何日目で解析するかのポイントを決定するのに時間を要し、少し遅れている
|
Strategy for Future Research Activity |
SKPの糖尿病性潰瘍に対する治癒促進効果のメカニズムを検討する、現在毛細血管数に有意差を認めているが、今後各種因子の発現状態を比較し、蛋白質レベルで確認していく。また創治癒時の神経再生に関する検討も解析するタイミングを変更し、追試を行う。こちらも同様にメカニズムの詳細を検討予定である。 下肢虚血を伴う糖尿病性足潰瘍に対するSPKs 治療について検討する。臨床に即したモデルとして、Raiter A らの報告に基づいて行う。db/dbマウスを用いて、24 週齢で左外腸骨動脈結紮処置を行い、両側足趾潰瘍を作成する。標識化したSKPs を潰瘍部および坐骨神経系を標的として片側虚血肢に局注し、両足趾の潰瘍部および神経の形態学的評価、組織学的評価を8 週間後まで2週ごとに神経機能評価(Sensory testing:熱刺激に対する反応速度、NerveConduction Study:電極刺激による下肢運動・感覚神経機能の定量化、神経密度(IENF):表皮層に伸びる神経線維をPGP9.5 にて免疫染色)を行い、定量化し、さらに最終的な神経の組織評価も行い、左右を比較する予定である。 本研究のために必要な情報収集や本研究の成果発表のため、各種学会に参加する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
皮膚前駆細胞を得るため、また皮膚潰瘍および神経障害モデル作成のための糖尿病マウス、皮膚前駆細胞の細胞特性解析や、神経分化能解析のために要する培地や抗体など、これらの実験を遂行するために必要な消耗品も購入する。 本研究のために必要な情報収集や経過発表のために、各種学会に参加する費用も計上する。
|
Research Products
(1 results)