2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞表面に局在する“細胞内タンパク質”の網羅的解析と組織障害・修復機能の解明
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23592670
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
泉 友則 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00261694)
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Keywords | 機能プロテオーム解析 / 細胞表面標識 / 細胞質漏出 / 炎症メディエーター / 疾患マーカー |
Research Abstract |
本研究課題では、組織損傷にともなって細胞外へ漏出し、近傍あるいは遠隔の細胞に影響を与える細胞内タンパク質を“細胞表面結合タンパク質”として選択的に同定し、その動態を解析するとともに、組織損傷・修復への関与を明らかにする。 H24年度は、これまでに同定した細胞表面結合能を有する細胞内タンパク質について、ヒットペプチド数、Gene ontology、膜貫通領域予測などに基づく分類を行った。同定された454種類のタンパク質のうち、405種類がシグナル配列や膜貫通ドメインを持たない典型的な可溶性細胞内タンパク質に分類された。一方、H2O2添加による細胞損傷時に放出されるタンパク質の網羅的解析により580種類を同定し、両リストに共通な168種類を「H2O2傷害細胞から放出され、細胞表面に結合する機能分子」の候補とした。さらに、タンパク質の分子量、複合体形成の可能性やサイズ、既知の細胞内局在、また疾患との関連性などを考慮し、最終的に約20種類を機能分子候補として絞り込んだ。一部について、市販の抗体を利用した機能解析をスタートしたが、細胞表面結合分子に対する検出感度が不十分であったため、これらについて、cDNAのクローニング、FLAGタグ付き組換えタンパク質の発現、精製、および細胞影響解析を順次進めている。これまでに、細胞表面結合タンパク質のソースとして使用した線維芽細胞抽出物を培地に添加した場合、U937細胞の増殖を20%程度抑制することを確認している。細胞増殖とともに、ホルボールエステル刺激による細胞分化やTNF刺激における細胞死に対する個別のタンパク質の影響について培養細胞系での解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、1)細胞影響解析のための機能分子候補の選定、2)異所性細胞内タンパク質の細胞影響解析、以上2項目を実施計画に記載した。機能分子候補の選定を終了し、組換えタンパク質の作製と培養細胞系での影響解析の一部をすでに終えていることから、おおむね計画通りの実施状況といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、当初の研究計画に沿って、引き続き、1)異所性細胞内タンパク質の細胞影響解析を行う。具体的には残りの候補機能分子についても293細胞、あるいは293T細胞での組換えタンパク質発現を進める。発現量が十分ではない分子については、大腸菌を使用したタンパク質発現への変更も考慮する。得られた組換えタンパク質を直接、あるいは精製後、培養系へ添加し、培養細胞への影響として、細胞増殖能と生存率を測定する。これらへの影響が確認されたものについては、ターゲットとして想定される細胞内シグナル伝達経路への影響(主にMAPキナーゼカスケードのリン酸化)を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度の研究費使用計画は、当初の研究計画から大きな変更はない。 細胞培養や機能解析実験に必要な試薬・消耗品(\350,000)、学会発表の旅費(\100,000)、論文校閲(\50,000)・投稿料(\100,000)を予定している。
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Research Products
(1 results)