2013 Fiscal Year Annual Research Report
A群レンサ球菌ncRNAによる病原性調節機構の解析
Project/Area Number |
23592700
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中田 匡宣 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (90444497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 重忠 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50273694)
寺尾 豊 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50397717)
住友 倫子 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50423421)
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Keywords | 細菌 / ncRNA |
Research Abstract |
A群レンサ球菌はヒトを唯一の宿主とし,咽頭や皮膚に局所性化膿性疾患を起こす.この疾患が治癒した後,二次性続発疾患としてリウマチ熱や急性糸球体腎炎を惹起する場合がある.さらに,頻度は低いものの,壊死性筋膜炎や多臓器不全を伴う劇症型GAS感染症の罹患により,高率で死亡することが報告されている.A群レンサ球菌の感染による病態発症の機序は完全に解明されておらず,有効な治療法と予防法の確立が待ち望まれている.A群レンサ球菌による感染で特徴的なことは,皮膚や咽頭・上気道等の多様な解剖学的部位に多岐にわたる疾患を惹き起こすことである.これは,A群レンサ球菌が産生する病原因子群や宿主因子等に起因すると考えられる.また,病態を発症するためには,感染部位において,A群レンサ球菌が病原因子群の発現を巧みに調節することが必要不可欠である.近年,mRNA自身による転写・翻訳制御が注目されている.その機構の1つであるノンコーディングRNAに着目し,ノンコーディングRNA候補群の欠失株を用いて標的となるmRNAの検索を行った.また,これまで変異株作製が不可能であり,転写因子をコードすると考えられる遺伝子について,人工リボスイッチを用いた翻訳制御システムによりコンディショナル変異体を作製し,機能解析を行った.リボスイッチはmRNAの一部であり,代謝産物などを認識して構造変化を起こし,翻訳効率などを変化させる.人工リボスイッチを遺伝子上流に組込んだコンディショナル変異株において翻訳を抑制した結果,変異株の成長は抑制された.電子顕微鏡像では,菌体は異常な表層構造と細胞形態を呈した.これらの結果から,当該遺伝子は生存に必須である可能性が考えられた.また,リボスイッチはA群レンサ球菌の必須遺伝子の機能解析に有効であることが示唆された.
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Research Products
(14 results)