2011 Fiscal Year Research-status Report
歯周病関連細菌が産生する蛋白質の翻訳後修飾:糖鎖修飾とリン酸化修飾の役割
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23592720
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
村上 幸孝 朝日大学, 歯学部, 教授 (60239506)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯周病関連細菌 / 蛋白質 / 翻訳後修飾 / 糖鎖修飾 / リン酸化修飾 / OmpA / O-GlcNAc |
Research Abstract |
歯周病関連細菌のうち、特にPorphyromonas gingivalisを用いて、翻訳後修飾された表層蛋白質を網羅的に同定し、糖鎖修飾蛋白質とリン酸化修飾蛋白質の全様を把握する。これにより、糖鎖修飾とリン酸化修飾の関連性についての情報を得る。その後、主な糖蛋白質の修飾糖鎖構造を推定したうえで、関連する糖鎖遺伝子の変異株を用いて、糖鎖修飾の有無が病原性の発現に及ぼす影響を明らかにする。一方、リン酸化に関わる遺伝子の変異株も作製し、リン酸化の有無が病原性の発現に及ぼす影響を明らかにする。このような内容を本研究の目的とした。 平成23年度では、P. gingivalis菌体成分を二次元電気泳動により展開後、糖染色で網羅的に糖蛋白質を検出し、質量分析により同定を行った。その結果、OmpA様蛋白質PGN0729に加えて、PGN0876、PGN0743およびPGN1513が新たに糖蛋白質として見い出された。これらの糖蛋白質の変異株を作製し、野生株と比較したところ、増殖やバイオフィルム形成に関与することが明らかになった。現在、これらの内容をまとめた論文を投稿中である。 P. gingivalisのOmpA様蛋白質については、WGAレクチンアフィニティカラムで効率的に分離できること、そして特異抗体を用いた実験から、O-GlcNAcで修飾されていることを学会で報告した。P. gingivalis以外の近縁の細菌においても、糖鎖修飾されたOmpA様蛋白質が広く分布していることをあわせて報告した。また、歯周病関連細菌Tannerella forsythiaのOmpA様蛋白質が、菌体形態の維持や細胞外マトリックス蛋白質への付着に関与することを明らかにした。 リン酸化修飾蛋白質については、特異的染色による検出の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周病関連細菌P. gingivalisに存在する糖鎖修飾蛋白質の網羅的な同定がほぼ達成できた。次いで、これらの糖鎖修飾蛋白質の生物学的機能の解析を行うことができた。さらに主要な糖鎖修飾蛋白質であるOmpA様蛋白質については、修飾糖鎖の構造の一端を検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従い、二次元電気泳動を利用して、歯周病関連細菌に存在するリン酸化蛋白質の網羅的な検索をさらに進める。一方、糖鎖修飾蛋白質に関しては、O-GlcNAc糖鎖修飾に関与すると考えられる糖転移酵素遺伝子や他の糖鎖合成関連遺伝子を選定し、その遺伝子から順次欠失させてみる。同様にリン酸化に関わる遺伝子も選定し、欠失させてみる。野生株と遺伝子欠失変異株とを比較し、菌体全体および表層の翻訳後修飾蛋白質の変化を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の未使用額は発生していない。 次年度の研究費は、主として試薬等の消耗品の支出に充てるが、研究の打合せや成果の発表および論文の校閲等にも使用する予定である。
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