2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子レベル解析技術を応用した接着機能性モノマーの網羅的解析と最適組成の検討
Project/Area Number |
23592798
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鳥井 康弘 岡山大学, 大学病院, 教授 (10188831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 靖弘 岡山大学, 歯学部, 研究員 (90281162)
長岡 紀幸 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70304326)
白井 肇 岡山大学, 大学病院, 講師 (00263591)
河野 隆幸 岡山大学, 大学病院, 助教 (80284074)
鈴木 康司 岡山大学, 大学病院, 助教 (30304322)
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Keywords | 接着 / 機能性モノマー / 歯質 / エックス線解析 / 10-MDP / 微細構造解析 / 歯質接着材 |
Research Abstract |
歯科接着材料の接着性能の発現は材料・歯質接着界面の性状がきわめて重要である。10-methacryloyloxydecyl dihydrogen phosphate (10-MDP)含有市販歯質接着システムでは合成アパタイトでのモデル実験と同様に, ヒト歯質接着界面に10-MDPの2分子が向き合った層状構造の自己組織化したモノマー Ca 塩が観察されることを我々は報告した。しかし,これは2次元的な像の観察のため本年はまず,接着界面でモノマーCa塩が立体的にどのような状態で存在するのかをFIB-SEMで観察した。接着界面には健全象牙質,樹脂含浸層,接着材に含まれるフィラー,モノマーCa塩が観察され,それらの像を15nmピッチでセクショニングし約500枚のSEM像で立体化したところ,象牙質の接着界面から接着材層側に向かってモノマーCa塩が広がるように存在し,このモノマーCa塩は板状様であった。これによって接着層に立体的にモノマーCa塩が生成し,接着性に関与している可能性が示唆された。 次いで,接着層でのモノマーCa塩の存在と歯質接着との関連性を調べるため,10-MDP含有市販接着材に合成MDP-Ca塩を添加したものの物性を調べた。MDP-Ca塩を合成し赤外線吸収スペクトルとX線回折で構造確認後,10-MDP含有市販ボンディング材のクリアフィルトライエスボンドND(クラレノリタケ)に30wt%混合して重合収縮率,ヌープ硬さ,ダイヤメトラル引張り強さを測定した。比較のため,トライエスボンド,Bis-GMA単体,Bis-GMA-HEMA混合試料も設定した。MDP-Caの添加で重合収縮は減少し,ヌープ硬さは向上した。しかし,ダイヤメトラル引張り強さでは有意差はなかった。接着界面でのモノマーCa塩の生成は,レジン-歯質接着界面に物性的にも影響を与え,接着能に関与していることが考えられた。
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Research Products
(1 results)