2012 Fiscal Year Research-status Report
メタルフリー接着性修復のin vivo/in vitro評価
Project/Area Number |
23592815
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
奈良 陽一郎 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (80172584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柵木 寿男 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (50256997)
山田 正 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (60615178)
山瀬 勝 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (80301571)
代田 あづさ 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (10307960)
新田 俊彦 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20247042)
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Keywords | メタルフリー修復 / 接着 / in vivo/in vitro / 接着強さ / 辺縁漏洩 / 動的荷重ストレス / サーマルストレス / ワイブル分析 |
Research Abstract |
本研究課題では、"患者・歯科医師双方が求める質の高いメタルフリー直接・間接接着性修復の達成を図る"ことを目的として検討を行っている。そこで、平成24年度に得た主たる成果を以下に示す。 1)髄床底を窩底とする2級MO直接修復を想定し、動的荷重因子がレジンコア併用症例の窩壁象牙質接着強さに及ぼす影響を明らかにすることを目的に評価検討を行った。その結果、コアシステムにかかわらず、ストレス負荷条件下のP壁における接着が著しい影響を受けることが明らかとなった。 2)新規汎用性オールインワン接着システムの接着信頼性を明らかにすることを目的に、口腔内環境想定の複合ストレス負荷の有無条件下における歯頸部修復窩洞内象牙質窩壁に対するμ-TBSを測定し、評価検討を行った。その結果、新規汎用性システムのμ-TBS値は、複合ストレス負荷の有無による影響を受けていなかった。また、ワイブル係数(m値)に関して、+S条件下の当該システムのm値は、従前システムより有意に大きく、接着信頼性に優れていた。 3)フロアブルレジン(F)による歯頸部修復の接着実態について、ユニバーサルレジン(U)を対照として、複合ストレス負荷試験によって評価検討した。その結果、Fの漏洩は、Uと同等または小さい漏洩を示した。また、m値において、F値はU値より有意に大きく、接着信頼性に優れていた。 4)4種被着体に対するレジンセメントの接着強さに及ぼす新規汎用性前処理材の効果を明らかにすることを目的に、市販の先行前処理材と比較検討を行った。その結果、新規汎用性前処理材のTUPはメタル(M)とセラミック(C)において、DCAはハイブリッドセラミックス(H)とジルコニア(Z)において先行前処理材と同等または優れた接着強さ獲得効果を有していた。また、近年の前処理材を活用した場合,TBS値はZ>M・C>Hの大小関係となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度~25年度の科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)としての承認を受け、本研究課題では、"患者・歯科医師双方が求めるメタルフリー接着性修復に焦点を絞り、直接ならびに間接法による質の高い当該修復の達成を図る"ことを目的として検討を行っている。今年度は、昨年度の研究成果を踏まえながら、「研究実績の概要」の部分で述べた成果を挙げることができ、それぞれにおいて、以下に述べる臨床的意義・寄与を確認することができた。 1)髄床底を窩底とする2級症例は、臨床における遭遇機会が多く、接着信頼性の向上には、レジンコアシステムの改善に加え、術者によるレジン重合収縮への配慮、歯面処理時のエアーブロー法、光照射方法などに注意を払い、システム性能を最大限に引き出す対応が重要であることが示唆された。 2)新規汎用性オールインワン接着システムは、ポリアクリル酸コポリマーの配合、シラン剤の添加、接着機能性モノマーMDPの活用、新規光重合触媒・多官能親水性モノマーの導入などによって、口腔内環境想定の苛酷なストレス条件下においても安定かつ高いレベルでの歯頸部接着信頼性を示し、臨床においても良好な予後獲得に寄与することが考えられた。 3)フロアブルレジンの選択応用は、ユニバーサルレジンより確実な接着強さの獲得と同時に、接着破壊への耐久性に優れていることが考えられ、歯頸部修復の予後向上に寄与すると考えられた。 4)メタルフリー接着性間接修復に際し有効な前処理剤の内、新規汎用性前処理材は、先行前処理材と同等または優れた接着強さ獲得効果を有し、製品によって修復物への効果が異なることが明らかになった。 以上から、現在までの達成度に対する自己点検評価としては、「おおむね順調に進展している。」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、本研究課題:メタルフリー接着性修復のin vivo/in vitro評価の最終研究年度となる。ついては、過去2年度の研究成果を踏まえ、交付申請書の実施計画に挙げた2つの実験系によって、"患者・歯科医師双方が求める質の高いメタルフリー直接・間接接着性修復の達成を図る"という目的の具現化に努める。 具体的には、複合機能試験機およびMicro-tensile bond testを活用した実験系では、新規のレジン接着システム、レジンセメントおよびコンポジットレジンをはじめとする材料を用いて、口腔内環境を想定した条件下におけるメタルフリー接着修復の接着の実態を、直接・間接法それぞれの方法に対し検討する。また、今年度は、次世代の歯冠修復を担うデジタルレストレーションの代表格ともいえるCAD/CAM修復を検討対象に加え、当該修復システムによる修復物の窩洞適合性、形態再現性、ストレス条件下における接着挙動、辺縁封鎖性についても検証する予定である。さらに、近年臨床において頻用されつつあるフロアブルレジンを含めた各種コンポジットレジンの研磨性、光沢度を含めた基礎的物性についての評価を目指す。 一方、in vivo/in vitro小型接着試験器を活用した実験系では、新規・試作レジン接着システムを用いて、まず抜去歯歯頸部の摩耗症露出象牙質および齲蝕罹患象牙質に対するin vitro 引張接着強さの測定値の集積に努める。併せて、臨床的修復歯面の代表格といえる口腔内の歯頸部摩耗症露出象牙質および齲蝕罹患象牙質に対する市販レジン接着システムのin vivo 引張接着強さの測定を図る。これらによって、過去の研究では検討が困難であった臨床的修復歯面の接着実態や市販レジン接着システムの接着性能について、探究を図る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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