2013 Fiscal Year Annual Research Report
ストロンチウム含有生体活性ガラスによる新規骨補填材の開発
Project/Area Number |
23592821
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
泉 利雄 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (40248547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿南 壽 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80158732)
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Keywords | 生体活性ガラス / ストロンチウム / ポリグルタミン酸 / 骨補填材 |
Research Abstract |
ストロンチウムを含有する生体活性ガラス(以下Sr-BAG)を組成の一つとするセメントを作製するために、硬化機序として、BAG粒子とポリグルタミン酸(以下PGA)とのキレート反応を利用した。ガラス粒子をセメントの組成の一部として使用することで、粒子の拡散を防ぎ欠損部封鎖性の向上が期待できる。 BAG粒子中のCaOを75重量%および100重量%の割合でSrOを置換し、各々Sr75およびSr100とした。Srを含有しないBAG粒子をSr0とした。粒子径40μm以下。 ラットの左右頭頂骨に骨欠損を作り、BAG粒子とPGA(5%wt)との錬和物を埋入した。骨欠損部に何も埋入しないものを対照とした。術後1ヵ月・2ヵ月・3ヵ月および4ヵ月にセメント周囲の新生骨形成状態を観察した。 対照群およびSr0群では、実験期間内に欠損部周囲から反応性の新生骨形成を認めたが、欠損部中央での新生骨形成はなかった。Sr-BAGであるSr75群およびSr100群の一部では、術後2ヵ月に新生骨形成を認め、3ヵ月、4ヵ月と経つにつれ新生骨は増大した。新生骨形成の機序としてSr-BAGから放出されたSrイオンの影響が最も考えられるが、欠損部の出血がコントロール出来ていないと、BAG-PGAペーストは血液や組織液と接触する部分で溶解し、BAG粒子が流失してしまい骨形成が生じない可能性がある。Sr-BAGをSr徐放体と考え、生体内での溶解性を改善したペーストを作り出せるようPGAの濃度や練和条件を策定する必要がある。 研究期間全体の成果;Sr-BAG粒子を単体およびセメントとして骨欠損部に埋入したところ、Sr0では欠損部内に新生骨形成を認めなかったがSr-BAGでは新生骨形成を認めた。BAGから放出されるSrイオンにより骨形成が促進されることから、Sr-BAGを用いた新しい骨補填材開発の可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)