2011 Fiscal Year Research-status Report
顎口腔刺激と摂食促進ペプチド活性が睡眠・認知障害に及ぼす影響
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23592921
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 晋 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 招聘教員 (00367541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古郷 幹彦 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20205371)
辻 忠孝 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50527231)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 顎口腔刺激 / 摂食促進ペプチド / 認知障害 |
Research Abstract |
咀嚼及び桂花の嗅覚刺激が摂食行動へ及ぼす影響について 我々は、桂花の嗅覚刺激にて、一定時間当たりの摂食量減少、同量の飼料を与えた際の摂食行動開始までの時間および摂食時間の延長と摂食を抑制する方向に視覚的行動特性が変化する傾向が得られているため、本研究では咀嚼機能の違いつまり顎口腔刺激の変化が摂食行動に影響を及ぼすのか明らかにした上で、脳内のオレキシン発現抑制効果をもつ桂花の嗅覚刺激にて両者がいかに変化するかを検討した。実験開始後、1,2週目までは体重増加量はcont>OSM>Ext>OSM+Extであったが、3週目でcont>Ext>OSM>OSM+Ext、4週目でcont>Ext>OSM + Ext>OSMという結果を得た。当初は抜歯による咀嚼機能低下の影響で体重増加の抑制効果を呈し、4週経過すると抜歯後からの咀嚼機能の回復、非抜歯群(control群, OSM群)の成長曲線がプラトーとなってくることが要因となり抜歯群の体重が非抜歯群の体重に近づいたと推測された。 また、OSMによる慢性的な嗅覚刺激が累積摂食量の減少に伴い、体重増加の抑制効果を呈する可能性が示唆された。咀嚼及び桂花の嗅覚刺激が空間認知能力へ及ぼす影響について オレキシンA 脳室内投与は海馬に投射し、CA1 ニューロンを抑制することで空間認知能を抑制すると報告されているため、本研究では、脳内のオレキシン発現抑制効果をもつ桂花の嗅覚刺激にて認知能がいかに変化するかを検討した。実験開始後1週間目の水迷路実験の結果、OSM群が他の3群に比して明らかに到達時間が早い結果を得た。しかしながら、Ext群とOSM+Ext群との間に有意な差はなく、Ext条件下でのOSMの効果は明らかではなかった。OSMによる嗅覚刺激を提示することで、脳内のオレキシン発現抑制に伴い学習記憶を亢進させることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、咀嚼及び桂花の嗅覚刺激が自発行動・摂食行動・睡眠覚醒へ及ぼす影響を検討する予定であったが、摂食行動へ及ぼす影響を解析した結果、次年度予定であった空間認知能力へ及ぼす影響についての研究を先行遂行した。そのため、平成24年度には、咀嚼及び桂花の嗅覚刺激の睡眠覚醒へ与える影響について検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
咀嚼及び桂花の嗅覚刺激が覚醒・睡眠へ及ぼす影響について我々は、桂花の嗅覚刺激にて、一定時間当たりの睡眠導入潜時までの短縮・睡眠時間の延長という一連の結果を得ている。本研究では、嗅覚刺激により、覚醒・レム睡眠・ノンレム睡眠のリズムや脳波(α・β・δ・θ波)が如何に変動するか検討し、さらに、咀嚼機能と覚醒・睡眠との関連性を追求する。1.生後3 週齢のWistar 系雄性ラット(1)標準的なゲージで飼育する群(非抜歯群)10 匹・(2)桂花匂い刺激付きのゲージで飼育する群(非抜歯群)10 匹生後3週齢のWistar 系雄性ラットの右上臼歯部の抜歯・同側の咬筋切断を施行後、(3)標準的なゲージで飼育する群(抜歯群)10 匹・(4)桂花匂い刺激付きのゲージで飼育する群(抜歯群)10 匹を作成し、2.生後8週齢の時点で、ペントバルビタール腹腔内投与により麻酔施行後、脳定位固定装置に固定し、両側前頭葉皮質にステンレス製ネジ電極、頭長筋に針電極を留置する。3 .術後7 日目、覚醒・睡眠サイクルのバラつきの生じる明期開始直後を避け、午前9 時よりステージへ移し6 時間脳波・筋電図を記録する(Z. L. Huang et al., Proc Natl Acad Sci U S A 98, 2001)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24 年度には大量のデータ保存あるいは多角的な解析を目的に解析用コンピュータを申請している。消耗品については各申請年度ともに複数の研究を同時進行するにあたり必要な実験動物、抗体・試薬、器具に関わる費用をそれぞれ計上している他、研究成果公表にあたって必要な旅費、印刷費を別途申請している。
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