2011 Fiscal Year Research-status Report
SDFー1/CXCR4システムを介した口腔癌の転移機構におけるmiRNAの役割
Project/Area Number |
23592964
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
内田 大亮 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 洋二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20200214)
玉谷 哲也 徳島大学, 大学病院, 講師 (30274236)
大江 剛 徳島大学, 大学病院, 助教 (60432762)
栗林 伸行 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80617332)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | CXCR4 / 口腔癌 / 転移 / miRNA |
Research Abstract |
本研究では高転移能を有するB88-SDF-1細胞を用い、SDF-1/CXCR4システムの下流に存在し、転移関連分子の発現を制御するmiRNAを同定することで、本システムのmiRNAを介した転移機構を明らかにすることを目的とする。1.B88-SDF-1細胞におけるmiRNAの発現検索ーB88-SDF-1細胞とmock細胞におけるmiRNAの発現を,TORAY社製miRNAアレイを用いることで検索した.その結果,4種のmiRNAにて有意な発現上昇を認め,11種のmiRNAにおいて有意な発現低下を認めた.2.既存の転移関連miRNAの抽出ー発現変動のあったmiRNAは機能未知なものが多く含まれていたが,B88-SDF-1細胞において,膀胱がんにおける転移促進miRNAと予想されているmiR-Xの発現上昇を認めた.3.2で抽出した転移関連miRNAの発現確認ーmiR-X,および機能未知であるが発現変動の大きかった5分子に関して,real-time PCRにより発現変化を再確認した.その結果,4分子はアレイの結果を反映していたが,中でも上述のmiR-Xが顕著な発現変動を認めた.4.転移関連miRNAに対する標的分子の検索ーmiR-Xにより発現抑制されることが予想される転移抑制分子を予測プログラムであるtarget scanを用い数個同定したが,real-time PCRではB88-SDF-1細胞における発現減少を認めなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転移促進分子であるCXCR4の下流には多くの転移関連miRNAが存在すると予想されたが,以外にも併せて15個程度のmiRNAしか変動がなかった.また変動していたmiRNAも機能未知なものがほとんどであったが,転移関連miRNAと予想されているmiR-Xも含まれていた.しかしながら,miR-Xは転移性膀胱がんにおいて,発現上昇が認められることが報告されているのみで,targetは不明である.target分子の予測を行い,real-time PCRにて発現変動を検討したが,既存の転移関連分子をtargetにしていないことは意外であった.しかしながら,本年度は概ね研究計画通りに進行した.
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Strategy for Future Research Activity |
target scanによる予測分子をすべて解析することは困難なため,以下の方法によりmiR-Xによる標的分子を同定する.すなわち,miR-X inhibitorをexiqon社より購入後,B88-SDF-1細胞に導入し,miR-X inhibitorにより発現変化を認めた標的分子をcDNAマイクロアレイにより検索する.この中から,target scanにてmiR-Xの結合配列を有する分子を検索し,miR-X標的分子を同定する.同様にreal-time PCRとwestern blotによりmiR-X標的分子の発現変化を確認する.次に,miR-X inhibitorをB88-SDF-1細胞に導入し,細胞遊走能の変化を検討する.miR-XがB88-SDF-1細胞の遊走を制御していれば,miR-X阻害剤をin vivoで投与し,B88-SDF-1細胞の転移に与える影響を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)繰り越し額が生じた状況3月下旬に全米癌学会へ資料収集に行っているが,4月を跨いだため,3月分の収支に反映されなかったため.(2)翌年度以降に請求する研究費とあわせた使用計画1.消耗品ーmiR-X阻害剤,transfection試薬,cDNAマイクロアレイ,target分子のreal-time PCR用プローブ,細胞培養用試薬・器材,実験動物の購入等に使用する.2.旅費ー日本癌学会での成果発表,日本口腔外科学会,全米癌学会での資料収集等に使用する.3.その他ー成果があがれば,論文投稿および掲載料に使用する.
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