2012 Fiscal Year Research-status Report
SDFー1/CXCR4システムを介した口腔癌の転移機構におけるmiRNAの役割
Project/Area Number |
23592964
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
内田 大亮 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 洋二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20200214)
玉谷 哲也 徳島大学, 大学病院, 講師 (30274236)
大江 剛 徳島大学, 大学病院, 助教 (60432762)
栗林 伸行 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80617332)
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Keywords | CXCR4 / 口腔癌 / miRNA / 転移 |
Research Abstract |
本研究では高転移能を有するB88-SDF-1細胞を用い、SDF-1/CXCR4システムの下流に存在し、転移関連分子の発現を制御するmiRNAを同定することで、本システムのmiRNAを介した転移機構を明らかにすることを目的とする。 昨年度は、miRNAアレイにてB88-SDF-1細胞において発現上昇しているmiR-Xを同定した。miR-Xの発現上昇は定量性PCRにて再現されたが、予測プログラムを用いたin silico解析では、膨大な標的分子が予測され、その標的分子を同定することは困難であった。そのため、本年度は以下の方法で研究を行った。 1)miR-Xの機能解析:miR-Xに対する特異的阻害剤を導入したところ、B88-SDF-1細胞の増殖に対する影響はなかったが、その細胞遊走を有意に抑制した。さらに、miR-Xに対する発現ベクターを親株B88細胞に導入したところ、細胞遊走能は有意に上昇した。 2)miR-Xの標的分子の検索:miR-XがB88-SDF-1細胞の遊走を制御していることが示唆されたため、miR-Xに対する特異的阻害剤を作用させた場合の、mRNAの動きをアフィメトリックス社製cDNAマイクロアレイにて検討したところ、22種類の変動mRNAが同定された。次に予測プログラムを用い、これらの分子をin silico解析したところ、miR-Xの結合配列を有するものが8種類存在していた。これらを定量性PCRにて再検したところ、2種類がPCRでも同様に発現上昇し、miR-Xの標的mRNAである可能性が明らかとなった。現在、これらの蛋白レベルでの発現変動を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転移促進分子であるCXCR4の下流には多くの転移関連miRNAが存在すると予想されたが,以外にも併せて15個程度のmiRNAしか変動がなく、既存の転移関連miRは同定できなかった。そのため、解析の進行に手間取ったが、これらの中から機能未知なmiRNAであるmiR-Xが、SDF-1/CXCR4システムの下流に存在する転移関連分子である可能性を明らかにした。当初は、miR-Xに対する阻害剤をin vivoで使用する予定であったが、費用面に問題があり、発現ベクターを導入する系に変更した。それ以外は、本年度は概ね研究計画通りに進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)miR-Xが導入されたB88細胞のtransfectantをヌードマウス静脈内あるいは咬筋内に移植し、肺転移あるいはリンパ節転移に与える影響を検討する。さらにCXCR4を発現していないCAL27細胞にも同様にtransfectantを作製し、同様の実験を行う。 2)親株B88細胞を外因性SDF-1で処理した場合に変動するmiRNAをmiRNAマイクロアレイを用いて検討する。 3)miR-X transfectantの下流でダウン制御される標的分子の機能解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①繰り越し額が生じた状況 in vitroの実験は初年度に購入した試薬類を使用したことと、in vivoの実験が行えなかったため。 ②翌年度以降に請求する研究費とあわせた使用計画 1.消耗品ーtransfection試薬、miRNAマイクロアレイ、標的分子のreal-time PCR用プローブと抗体,細胞培養用試薬・器材、実験動物の購入等に使用する. 2.旅費ー日本癌学会、全米癌学会での成果発表,日本口腔外科学会での資料収集等に使用する. 3.その他ー成果があがれば,論文投稿および掲載料に使用する.
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Research Products
(2 results)