2012 Fiscal Year Research-status Report
安定した高い粘膜再生能を有する培養粘膜の開発-口腔粘膜上皮前駆/幹細胞の応用-
Project/Area Number |
23592982
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
芳澤 享子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60303137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 健次 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80242436)
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Keywords | 移植・再生医療 / 口腔顎顔面再建外科学 / 口腔粘膜 |
Research Abstract |
私たちはティッシュエンジニアリングの手法を用いた培養口腔粘膜(EVPOME)の開発とその臨床応用を行い、同時にその粘膜再生能について動物実験モデルより基礎的にも検討を重ねた結果、EVPOMEは口腔粘膜を良好に再生させることが明らかとなった。しかしながら、現在の培養方法では、得られる上皮細胞は増殖能、分化能が不均一な細胞集団であるため、患者によっては細胞増殖が遅く、そのような細胞は成長因子の放出量が少なく、培地内グルコース消費量が少ない、いわゆる細胞増殖能の不良なEVPOMEが作製される恐れがある。本研究の目的は、増殖能の高い均一な細胞集団である口腔粘膜上皮前駆/幹細胞を選別し、それらから作製したEVPOMEの粘膜再生能および再生機構を評価することである。平成23、24年度ではヒト口腔粘膜より上皮細胞を採取、培養し、口腔粘膜上皮前駆/幹細胞集団と考えられる小型細胞集団を選別して、両群の細胞集団について、細胞増殖能を比較するとともに、EVPOMEを作製してラットの背部皮下に移植し、継時的に肉眼的、組織学的に検討した。その結果、小型細胞集団よりなるEVPOME移植群の方が上皮層の増殖が盛んであるとともに、血管新生も目立った。さらに培養上皮細胞の同定のために、GFPラットの口蓋粘膜を採取し、口腔粘膜上皮細胞を培養し、その細胞集団より小型細胞集団を選別し、両群の細胞集団について細胞増殖能を比較した。今年度はGFPラット細胞を用いて、培養口腔上皮細胞集団と口腔粘膜上皮前駆/幹細胞集団と考えられる小型細胞集団よりEVPOMEを2種類作製し、その増殖活性を比較するとともにラットの背部皮下に移植し、肉眼的、組織学的に検索を行い、その増殖能の比較を行う。これにより、安定した高い粘膜再生能を有するEVPOMEの作製が可能であるかどうかを検討できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GFPラット口蓋粘膜細胞の培養と小型細胞集団の選別を行い、それぞれのEVPOMEを作製し、免疫組織化学的に評価する段階に時間がかかり、その後の移植手術まで進めなかった。平成24年度はその分ヒト口腔粘膜を用いてEVPOME作製、形態学的評価および移植実験を推進した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では、GFPラットの口腔粘膜上皮細胞と小型細胞集団で作製したEVPOMEをラット背部皮下に移植する予定であったが、EVPOME作製とその免疫組織化学的検索、培養上清中の成長因子量との比較、検討が終わっていないので、作製したEVPOMEを用いてKi-67、Integrin-α6、PPARγ、Keratin13およびGFPによる免疫染色を行う。そしてラットの背部皮下に移植して、移植後5、7、9、14、21、28日に屠殺し、EVPOME移植部を周囲組織とともに切除、摘出する。摘出物を肉眼的に観察するとともに、10%ホルマリン固定、パラフィン連続切片を作製し、ヘマトキシリンエオジン染色を施し、組織学的に観察する。さらに、Ki-67、Integrin-α6、PPARγ、Keratin13、および血管マーカーであるCD34に対する抗体を用いて、免疫組織化学的に検索する。2種類の細胞集団で作製されたEVPOMEの免疫組織化学的評価および移植後の治癒過程についてヒト口腔粘膜で作製したEVPOME群と比較、検討し、成果発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラット背部移植実験のため、ラット50匹購入する。さらに試料作製、染色用抗体などの試薬を購入する。 成果発表のための旅費、論文用の英文校正、印刷代などにも使用する。
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