2013 Fiscal Year Annual Research Report
催眠・鎮静薬による健忘作用に対するアデノシン受容体の関与
Project/Area Number |
23593000
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
櫻井 学 朝日大学, 歯学部, 教授 (50225843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 卓也 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00219825)
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Keywords | アデノシン受容体 / ミダゾラム / アデノシン / アミノフィリン |
Research Abstract |
有志の男性20人を対象とし,ミダゾラム0.06mg/kg投与後30分にアデノシン受容体の拮抗薬であるアミノフィリン5mg/kg,あるいはベンゾジアゼピン受容体の拮抗薬であるフルマゼニル0.3mgを投与する2群に分け105分間の観察・記録を行った.測定項目は,bispectral index (BIS),健忘効果(4枚の絵を鎮静開始前および鎮静後35分に記憶させ,鎮静後105分および24時間後に健忘を確認),呼吸・循環パラメーターとした.結果として鎮静前に見せた4枚の絵は,両群とも全症例鎮静後105分および24時間後で記憶しており逆行性健忘はなかった.鎮静開始後30分には両群ともBISが60以下となり,同程度の鎮静状態が得られた.ここで拮抗薬としてアミノフィリン(A群)かフルマゼニル(F群)が投与された.これにより両群ともBISが約90まで回復し鎮静が拮抗された.この時点で記憶させた2枚の絵はA群が鎮静開始後105分および24時間後の各時点で全例記憶しており,F群も鎮静開始後105分で全例,24時間後で9例が記憶していた.これまでの研究でミダゾラム投与後再鎮静がフルマゼニル投与後には認められるが,アミノフィリン投与後には認められなかったこのことから,フルマゼニルで鎮静拮抗後もアデノシン受容体を介した作用が残存している可能性がある.しかし両群で健忘効果に差がなかったことから,アデノシン受容体刺激自体の健忘効果への影響は少ないと考えられる.つまり健忘効果の増強はアデノシン受容体の直接の影響ではなく,鎮静効果が増強された結果である可能性がある. 今回の研究でフルマゼニル投与により再鎮静が起こり,その程度がフルマゼニルの投与量に伴い増強されることから,鎮静効果へのアデノシン受容体の影響を強く示唆しており,今後フルマゼニル投与後の再鎮静とアデノシン受容体の関係に付いて調べる必要がある.
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Research Products
(1 results)