2012 Fiscal Year Research-status Report
歯の移動メカニズムの加齢変化-三次元的歯槽骨内微細構造からの検討-
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23593010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
日下部 豊寿 北海道大学, 大学病院, 助教 (80322824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 嘉晃 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (00250465)
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Keywords | tooth movement / alveolar / aging / CT |
Research Abstract |
昨年度から行われていた実験を継続した。大きく3回に分けて実験を行ったが、壮年期には適正な量の薬液の範囲が狭いせいか、1回は同時ではないが生き残った実験動物がいなく失敗に終わってしまった。しかし、2回は全ての実験動物が生き残ったわけではないが、データが出るところまではこぎつけることが出来た。適量の試薬を決定するために、さらに追加実験が必要と考えている。 実験内容は、実験動物の臼歯に、ニッケルチタン製のクローズドコイルを用いて歯科矯正力を加え、臼歯の5つの根の内側である歯槽骨部分を定性的観察および骨のリモデリング評価を行った。この評価法は、それぞれの歯髄腔の中心点を結んだ5角形を設定し同部の面積を計測した。さらに,5歯根のうち,5角形内にあるセメント質や歯髄腔を含めた歯根部分の面積を計測し、これを5角形部分の面積から除いた部分を算出してその切片の規準面積とする。一方,この5角形内に分布する歯槽骨面積を計測し,基準面積に対する計測された歯槽骨面積の割合を計算してこれを骨面積比率とした。計測はすべて画像解析ソフトImage-Pro Plus(Media Cybernetics,Maryland,USA)を用いた。 この実験より得たデータから、国際歯科学会(IADR)にて成果を発表した。日本を含む世界中の類似の研究を行っているリサーチャー達とコミュニケーションをとり、情報を交換することが出来た。またデータに関して足りない実験を指摘されたが、初めてわかったことなどは賞賛を受け、とても有意義な発表となった。国内での発表の方が、発表準備に時間を要しないが国際学会ならではの世界中の新しい実験データや研究手法を入手することが出来た。来年度も、出来れば抄録を間に合わせて期間内に国際学会に発表する予定でいる。 また、前年度の研究成果は原著として発表し雑誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験動物に関して、若齢では実験途中ではほぼ亡くなることがなかったのが、老齢を用いると時々死んでいた。しかし、今回行ったうちの1回は、糖尿病を誘発した際および装置を再着した後亡くなってしまった。 今回、犬歯を含む上顎骨を切り取りホルマリンに浸積している。次年度はこれを観察し、歯槽骨内の三次元的歯槽骨内微細構造を明らかにする予定でいる。 また、炎症が起きた状態との比較のため、第一臼歯周囲の歯槽骨に、外側からバーで穴を掘り、これに生じた炎症反応を利用し歯の移動を促進出来るか行った結果、十分な炎症反応が5根管に生じず、まだ実験を重ね実験方法を確立し、歯を現在よりさらに動かしやすくすることが出来るようにと考えている。この部分の三次元的歯槽骨内微細構造を明らかにはまだ到達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病を誘発した時から全ての実験動物が弱っていたことから、STZの適量に問題があると考えている。このため、適量を見つけた後、例数が少ないため、今後追加実験を行い数を増やす予定でいる。 今年度犬歯を含めた歯槽骨の観察を行うのであるが、研究方法を確立するために多くの文献を見たところ、CTをまず使用しスクリーニング的に行う予定である。その際本学で所有している大型機器が二つ候補に挙がった。それらは、Latheta LCT-200(HITACHI)およびinspcXio SMX-225CT(SHIMAZU)を用いる予定でいる。すでに来年度に使用出来るよう手配は済んでいるので、早急に着手予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度の理由と同様で、初年度全額でないかも知れないとのことで、ビーグル犬からラットに実験動物を変更したため、今年度も差額が出てしまった。 今後ビーグル犬に矯正力を加えた物を使用し、三次元的歯槽骨内微細構造を明らかにし、足りない例数を増やす予定でいる。 実験動物:高齢ラット(50,000円)、ビーグル犬飼育代込みx1(250,000円)、実験試薬:30,000円、旅費:国際学会発表(EOS:ヨーロッパ矯正歯科学会):250,000円、その他:印刷費:20,000円 総合計:600,000円
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Research Products
(3 results)