2011 Fiscal Year Research-status Report
災害医療における看護師のトリアージ教育法の研究開発に関する研究
Project/Area Number |
23593150
|
Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
武島 玲子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (30188180)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 災害時医療 / トリアージ教育 |
Research Abstract |
災害時トリアージのための学習方法の開発研究において、本年度は、災害受傷マネキン(災害時負傷モデル)シミュレータの作成を進めた。災害外傷モジュール(備品購入)を購入し、現有するシミュレータに組み合わせて、災害シミュレータを作成する準備をした。 次に災害時負傷者のモデルを作成するに際して、本学卒業生で現在、医療の現場で活躍している看護師(医療機関で従業中や大学院学生)4名を研究協力者とした。その研究協力者に災害医療を理解してもらうために、日本災害医療学会総会(金沢)に本研究者とともに参加した。学会では、2011年東日本大震災の災害医療の実際と問題点が中心テーマであり、災害医療に関する知識を得ることができた。 さらに、災害時負傷モデルをシミュレータに作成するためには、シミュレーション医療教育を熟知する必要がある。研究協力者がその理解を容易にするために、日本医療教授システム学会(東京)に参加し、シミュレーション医療教育の理解を深めた。その後、シミュレーション医療教育の実際を体験するために、吉田学園(札幌)で見学実習を行った。この施設では、救急救命士が責任者となり、各種シミュレーション医療教育を活発に実施している。その教育方法、教材の作成方法を見学実習し、知見を得ることができた。 これらと並行して、研究協力者は災害医療に関する文献を収集し、その現状と問題点を検討した(本年度計16回)。さらに日本DMAT所属の専門看護師に来校していただき、DMATについてその役割と現状について、説明を受け意見交換を行った。 各種災害を想定して多種類の状況をシミュレータに作成する過程では、災害時の外傷で多い出血のモデル(成人)を今年度の計画にしていたが、完成にはいたらなかった。主に出血モデル作成の準備を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究をシミュレーション教育として行うためには、本研究者以外に研究協力者が必要である。そこで、本学卒業生の看護師4名を協力者として参加することにした。研究を遂行していくためには、災害医療の知識、シミュレーション教育を理解することが最重要である。そのために関連学会への参加、施設見学などを実施することにした。並行して研究に関する勉強会を開催してきたが、基礎知識をつけるための時間が必要であったために、本研究の達成度はやや遅れた状況である。 また、本研究者は本学にシミュレーション教育のためのスキルラボを設置するため、今年度はスキルラボ設置準備ワーキンググループ長として活動をしていた。この活動の結果、平成24年度にスキルラボが開設されるので、次年度はそのラボを利用して研究が推進されることになる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本学に平成24年にスキルラボが開設されるので、その施設を利用して、シミュレーション教育教材の作成ができるようになる。災害時トリアージのための学習方法の開発研究において、災害受傷マネキン(災害時負傷モデル)シミュレータの作成である。本年度に準備した出血モデルを使用して、災害時の外傷の際に多い出血、骨折、脊髄損傷、体の一部が挟まれている時、化学熱傷等のモデルを考案することになる。 一次トリアージ(篩い分け)を行うための学習方法の作成には、上記で作成した災害時負傷モデルのシミュレータを使用して、学習方法を作成する。初めに出血、骨折の災害時負傷モデルでのトリアージマニュアルを研究者らが考案作成する。このマニュアルから、研究協力者と共に、シミュレーション教育の試行を行い、方法を完成させる。次に、実際に本学看護学生や病院看護師の協力を得て、本教育方法を試行してもらう。その際には、アンケート調査を実施し、方法の有効性や問題点を検討する。 また、シナリオ作成、その実施には、直接災害医療に従事している現場を知ることが重要である。そのためには、災害医療の教育を担当している独立行政法人国立病院機構災害医療センターの見学、実習に参加する予定である(平成24年9月予定)。そこで、本研究の成果を討論し、検討してさらに変更しながら開発を進めていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度の結果を基にして、最初に出血、骨折について災害時トリアージのための教育方法の開発研究を行い、その後、脊髄損傷、体の一部が挟まれている時、化学熱傷等について行う。備品は、携帯型救急モニタ(日本光電 WEC6003、1台、1,150,000円)、動画編集ソフト(日本ライトサービePower/KSHOW、1台、196,000円)、ポケットCPR(日本光電 ISS1200、2台、280,000円)、サクションユニット(レールダル社、1台、178,000円)が必要である。 研究計画は、 昨年度作成以外の災害受傷マネキン(災害時負傷モデル)シミュレータを作成し、それに対して一次トリアージの学習方法を作成する。次に、二次トリアージ教育を行うための学習方法を作成する。(1)各段階の災害時負傷モデルシミュレータを作成する。(2)作成された災害時負傷モデルシミュレータを使用して、マニュアルを作成する。(3)上記マニュアルを、本学看護学生や病院看護師の協力を得て、シミュレーションの試行を行う。(4)看護師が災害現場では、何を優先するのか、負傷者の外傷や疾患に、何をすることにより状態の悪化を回避できるかを考える。また、限られた資材を有用に使用する工夫から治療やケアができるようになることに重点をおき、そのための教材作成をする。(5)本研究者、研究協力者、救急医などが集り、問題点の協議、検討する。学習法を地域の看護師に受講を要請し、アンケート調査を実施検討し、再度検討する。(6)振り返り学習のためにビデオ録画し、その評価をする。 これらの計画に、昨年度の研究成果の発表(文献的研究)、独立行政法人国立病院機構災害医療センター見学等の旅費600,000円、人件費・謝金(専門的知識の提供、シミュレーション試行参加協力者への謝礼)300,000円、その他(消耗品、印刷代など)296,000円を計画する。
|