2012 Fiscal Year Research-status Report
災害医療における看護師のトリアージ教育法の研究開発に関する研究
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23593150
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
武島 玲子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (30188180)
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Keywords | 災害看護 / トリアージ |
Research Abstract |
災害時トリアージの学習方法の開発研究において、本学卒業生に本学のシミュレーション施設の必要性をアンケート調査した。回答率は34%で、全体の85%が施設の利用を希望していた。学びたい内容では、看護師75名中21名が患者急変時対応、19名が心肺蘇生法、災害時看護が5名であった。 次に昨年度からの災害看護関連の文献検討をまとめた。本研究の目的に合致する原著論文10編を分析し、「リーダーを中心とした多職種チームの運営」「医療提供のための環境整備」「特定分野における看護学習」「情報収集とアセスメント」「多数傷病者への治療・看護とその調整」「災害看護に必要な姿勢」の6つのカテゴリーを抽出した。この結果は、第43回日本看護学会学術集会(仙台、2012.9)で「災害時における看護師の役割と行動に関する文献検討」(大澤侑一、福田友秀、瀧本幸司、正田 傑、武島玲子)として発表した。 これらの結果から、インストラクショナルデザインを用いて、臨場感があり失敗から学べる外傷看護のシナリオ:シミュレーション教育方法の開発を開始した。本研究では都市型震災での現場救護所における看護に必要な動作を課題分析し、その目標を明記した。シナリオ作成を開始し、骨折・外傷を有するシミュレーションを作成した。また、学習者のレディネス別に到達目標および行動チェック表を作成し、ファシリテータの評価、実施後のデブリ―フィングでの活用を想定した。また、これらの学習の理解ためにクリッカー、ビデオ収録セット機器を購入した(約2,300,000円)。 さらに、本研究者と研究協力者4名(本学卒業生の看護師で現在、医療機関で従業中や大学院学生)がさらに研究内容を深めるために、第18回日本災害医療学会総会(神戸)や第4回日本医療教授システム学会(東京)に参加し、シミュレーション医療教育の理解を深めることに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
災害時外傷看護のシナリオ、シミュレーション教育方法の開発における教材の作成は進んだが、その教材を実際に試用する段階にはいたっていないため、本研究の達成度はやや遅れた状況である。 本研究者は今年度、本学にシミュレーション教育のためのスキルラボを設置し、スキルラボ企画運営部会長としての活動が多忙であった。ラボが開設されたことと、精密なシミュレータが次年度に購入される予定であるので、次年度はそのラボを利用して実際の研究を急速に推進していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本学に平成24年にスキルラボが開設されたことと、平成25年度に高精度シミュレータの購入予定であるので、その施設やシミュレータを利用して、シミュレーション教育教材の作成と実際の教育研究活動ができるようになる。災害時トリアージのための学習方法の開発研究において、災害受傷マネキン(災害時外傷モデル)シミュレータを運用して研究を推進する。更に、本年度に準備した外傷モデルを使用して、災害時の外傷の際に多い出血、脊髄損傷、体の一部が挟まれている時、化学熱傷等のモデルなど教材を増やすことが容易になる。 一次トリアージ(篩い分け)を行うための学習方法の作成には、上記で作成した災害時負傷モデルのシミュレータを使用して、一次トリアージを実施する学習法を作成する。今年度は、出血・骨折の災害時負傷モデルでのトリアージマニュアルを考案したので、このマニュアルから、研究協力者と共に、シミュレーション教育の試行を行い、方法を完成させる。次に、実際に本学看護学生や病院看護師の協力を得て、本教育方法を試行してもらう。その際には、アンケート調査を実施し、方法の有効性や問題点を検討する。 また、シナリオ作成と、その実施には、直接災害医療に従事している現場を知ることが重要である。そのためには、災害医療の教育を担当している独立行政法人国立病院機構災害医療センターの見学、実習に参加する予定である(平成25年9月予定)。そこで、本研究の成果を討論し、検討してさらに変更しながら開発を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の出血・骨折の災害時トリアージのための教育方法の開発研究を基にして、その後、脊髄損傷、体の一部が挟まれている時、化学熱傷等について行う。備品は、ポケットCPR(日本光電 ISS1200、2台、280,000円)、サクションユニット(レールダル社、1台、178,000円)が必要である。研究計画は、今年度作成以外の災害受傷マネキン(災害時負傷モデル)シミュレータを作成し、一次トリアージの学習方法を作成する。次に二次トリアージ教育を行うための学習方法の作成し、指導マニュアルを作成する。その後に、本学看護学生や病院看護師の協力を得て、シミュレーションの試行を行う。その結果から看護師が災害現場では、何を優先するのか、負傷者の外傷や疾患に、何をすることにより状態の悪化を回避できるかを考える。また、限られた資材を有用に使用する工夫から治療やケアができるようになることに重点をおき、さらに教材の充実を図る。 最終段階では、本研究者、研究協力者、救急医などが集り、問題点を協議、検討する。学習法を地域の看護師に受講を要請し、アンケート調査を実施、再度検討する。 これらの計画に対して、上述の備品の他に、これまでの研究成果の発表、独立行政法人国立病院機構災害医療センター見学等の旅費300,000円、人件費・謝金(専門的知識の提供、シミュレーション試行参加協力者への謝礼)100,000円、その他(消耗品、印刷代など)200,000円を計画する。
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Research Products
(1 results)