2011 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中背面開放座位ケアプログラムの定着を促す看護師支援ツールの開発と評価
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23593189
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
大久保 暢子 聖路加看護大学, 看護学部, 准教授 (20327977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱沼 典子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (40103585)
中山 和弘 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (50222170)
鈴木 和代 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70419456)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 背面開放座位 / 脳卒中 / 脳血管障害 / 意識障害 / 看護技術 / 廃用症候群 |
Research Abstract |
本研究は、脳卒中患者に効果がある背面開放座位ケアプログラムを医療施設に普及・定着させるため、そのための看護師支援ツールの開発・評価を目的としている。本年度は4年計画の初年度として、本プログラムを導入している・していた医療施設を対象に、導入と継続の困難性について質問紙調査及びフォーカスインタビューを行い、プログラム定着を阻む要因の明確化を予定としていた。分担・連携研究者との会議により、質問紙調査よりもインタビューを重視し、困難性の要因を詳細に収集、分析していく方針となった。インタビューはフォーカスインタビューから個別インタビューに変更し、それに伴う研究計画書(計画書の中の研究方法)の修正、所属施設の研究倫理審査委員会への提出を行った。 現時点におけるデータ収集の軌跡は以下の通りである。本プログラムを導入しているA県の1医療施設から研究協力の同意を得、看護部長、看護師長、医師の各1名、導入の中心となった臨床看護師2名の計5名を対象者とした。5名のインタビューは終了し、現在、データ分析中である。さらに本プログラムを導入していたM県の1医療施設において、看護部長、看護師長、理学療法士、医師、臨床看護師の計10名が対象となり、現在、インタビューの実施調整中である。今後は、他医療施設にも研究協力の依頼をし、対象者を増やしていく計画である。インタビューデータの分析については、数回の分担・連携研究者との会議において、施設毎に組織規模、導入の背景、プログラムの指導方法・頻度等が異なるためことから、施設毎に分析することとなった。従って、各施設のインタビューが終了した時点で、分析を進め、事例毎に阻害要因の明確化と課題の検討を行い、最終的に多施設による共通性を抽出していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究遅延の理由は2つである。 一つは、研究方法の変更である。研究開始時は、本プログラム導入の阻害要因を大規模な質問紙調査と選択された施設でのフォーカスインタビューを予定していた。しかし分担・連携研究者との会議において、質問紙調査を中止し、個別インタビューで詳細にデータを収集し、施設毎の事例分析を行うこととなった。そのことにより研究デザインとインタビュー内容の見直し、研究計画書の再作成、研究協力施設の再調整が必要となった。 二つ目は、研究協力の人材にしてである。インタビューを行う人員であった研究協力者の妊娠・出産となったことで、至急、代替を募集しなければらない状況であった。しかし代替要員の確保が困難だったことから、インタビューの実施が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の初年度を経て、背面開放座位は、ケアプログラムとして普及している医療施設とプログラムではなく背面開放座位単独で普及している医療施設があることが明確となった。ケアプログラム導入施設よりも背面開放座位単独を導入する施設数の方が多いことから、次年度から、それらの施設も対象として研究を進めていく予定である。大よそ昨年度から継続中のM県医療施設に対するインタビューについては、5月中に終了し、インタビューデータの分析についてもA県、M県の両県ともに7月に分析終了を予定している。背面開放座位単独で導入している施設のインタビューは7月以降に研究協力者を増員し、10月をデータ収集終了を目指して行う予定である。データ収集後、ケアプログラムを導入している・していた施設、背面開放座位単独で導入している・していた施設に分け、どちらが普及しやすいのか、普及を阻む要因は何なのかを両者を比較しながら分析する。また共通性も抽出していく。 加えて、次年度プログラム導入を開始する2医療施設において普及過程を前向き研究の研究デザインを設定し、6月に研究協力の説明、研究計画倫理審査委員会への提出を行い、10月からデータ収集していく予定である。上記研究計画については、更に他研究協力者を確保し、増員した上で計画を進めて行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、研究遂行のソフト面に費用が必要である。詳細は以下のとおりである。(1)旅費:各医療施設でのインタビュー、次年度プログラム導入予定の医療施設2施設に対して研究説明やデータ収集、今秋開催予定である学会でデータ分析結果を発表する予定であることから、学会や医療施設までの旅費が必要である。(2)業者委託費:インタビュー内容のテープ起こし費用。(3)謝金:インタビューアーを雇用をすることで、インタビューデータへの偏りを防止する。また前向き研究のデータ収集を行う研究協力者も雇用する。ほかに、データ資料の整理補助のための人件費も必要である。。(4)会議費:分担研究者、連携研究者との会議のための費用、次年度プログラム導入予定の2医療施設との会議費用。(5)備品費・消耗品費:プログラム導入予定の2医療施設に対して背面開放座位保持具を各1台提供する。データ収集に必要な文房具を購入する。(6)その他:研究説明の資料やインタビューガイドラインなどの印刷費、研究資料の郵送料、(7)専門的知識の提供料:諸外国で、看護技術を臨床現場で普及させるための戦略を開発している看護研究者に知識と助言を提供してもらう。 本年度は、研究が遅れていたが、次年度は研究協力者を増員し、研究の進行を計画通りに進める予定であるので、研究費が残る可能性は少ないと想定している。しかし何らかの原因によって、残額が生じた場合は、次々年度に繰り越すことも視野に入れている。残額が生じる可能性としては、協力施設の研究倫理審査の承認時期が遅延する、研究協力者が途中で協力できなくなることが考えられる。従って、それらの問題が生じないよう、その点に関して、次年度早々から対策を取っていく予定である。
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Research Products
(7 results)