2012 Fiscal Year Research-status Report
オピオイド鎮痛薬を使用している難治性非癌性疼痛患者の慢性疼痛との共存の過程
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23593237
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
進藤 ゆかり 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 助教 (70433141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 正憲 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (00404723)
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Keywords | 慢性疼痛 / 非悪性疼痛 / オピオイド鎮痛治療 / ペインコントロール |
Research Abstract |
本研究の目的は,難治性の慢性疼痛を抱え、特にオピオイド鎮痛薬を使用している非癌性慢性疼痛患者の痛みの実態とその生活への経時的変化および影響を明らかにすることである。申請者はこれまで大学病院麻酔科看護師として難治性の痛みに苦しむ慢性疼痛患者を看護し、あまりにもこの実態が社会に見過ごされていることに気がついた。そこで慢性疼痛である帯状疱疹後神経痛(以下PHN)高齢患者を対象に、痛みによる生活体験を質的に調査した。結果、参加者は平均年齢75.6歳(71~82)歳、女性6名、男性4名、発症経過年数3.2年であった。疼痛スコアは「現在の痛み」平均5.0±2.5、「満足できる痛み」平均1.6±1.3であり、現在の痛みと希望する痛みの程度とのギャップが少ないほど痛みを受容していた。SF36下位尺度は8尺度全てが年齢層別全国平均値を下回り、とくに身体の痛みや日常役割機能(身体)、活力が顕著に低かった。参加者の帯状疱疹後神経痛を抱えた生活は、9カテゴリーに分類された。高齢者は「不確かな病状の出現」に困惑し、「初期治療に疑心・後悔」を感じたまま、「痛みの多様性を自覚」しながら、疼痛緩和のためにあらゆる「状況打開の試み」を行い、「活力・体力の衰退」を自覚して生活していた。高齢者は発症時のあの恐ろしい痛みが再燃するかもしれないという恐れや、疼痛範囲の拡大などの「痛みにまつわる予期不安」を抱えながらも、家族や友人等の擁護的・疎外的・支持的な「周囲の干渉の兼ね合い」を見ながら、個々の「痛みとの折り合い」方を見出し、ゆっくりと「活きることへの再起」に向かっていた。 本年度はその知見の国内、海外発表を実施し、本研究にかかわる知見の取集に努めた。 また、非癌性慢性疼痛患者に対するオピオイド療法の国内外の先行文献を精読し、文献レビューを行い、研究に使用するインタビューガイドおよび質問用紙の精選に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は研究代表者が大学院博士課程へ進学するための準備や、本研究を博士論文として取り組んでいくため、より明細な文献レビューや情報収集、新たな研究組織準備に時間がかかり、倫理審査申請までたどりつけなかった。 また、研究分担者の所属移動なども重なり、迅速な研究遂行が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな研究組織のもと、昨年までまとめた先行研究文献レビューを基に、インタビューガイド、およびアセスメント質問用紙を完成させ、指導者の指導の下 、各臨床施設の倫理審査を受け、データ収集を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度~ :北海道札幌医科大学付属病院及び、研究協力に同意を得られた北海道内のペインクリニックあるいは麻酔科外来を有する病院で調査を実施する。 研究対象者 本研究の対象者は研究期間に対象施設を受診し、オピオイド鎮痛薬治療を受けている難治性の非癌性慢性疼痛患者で、本人から研究参加の同意を得られる方とする。縦断研究のため、対象者が参加の撤回や移動、死亡などによってドロップアウトしていくことも考慮し、約20人程度とする。 1)データ収集の対象・時期:対象は3ヶ月以上続く長期的な非癌性疼痛を持ち、オピオイド鎮痛薬治療を実施している患者とする。データ収集時期は、治療開始3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後に対象者の受診治療に合わせて面接及び質問紙調査を計5回実施する。外来受診日ではない時期に調査月が来た場合、対象者と相談の上、了解が得られれば居住地域まで出向き面接調査する。そのため、対象者への謝礼、およびデータ収集のために対象者宅への交通旅費などが発生する。データ分析を促進するため、音声データを逐語録化するための外部委託料金、および、知見発表のために学会参加費、旅費に研究費を使用する予定。また、データ収集、分析を促進するための備品の、分析ソフトの購入も予定している。平成24年度未使用額が発生したのは、年度内にPCを購入し、納品済みだが、単にH24年度分として事務の執行処理がまにあわなかったためであり、PC購入で既に使用済みである。
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Research Products
(1 results)