2011 Fiscal Year Research-status Report
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23593428
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高井 ゆかり 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (00404921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 則子 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 教授 (90280924)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 高齢者 / 生活の質 / ケア基準 / ガイドライン / 看護 / 介護施設 / 質向上 |
Research Abstract |
本研究は、我が国の高齢者医療・介護施設の看護師や介護職者により活用可能であり、我が国の医療福祉制度や文化を基盤とした慢性疼痛ケア基準の構築を目指す。そのために、(1)高齢者がもつ疼痛ケアへのニーズ(高齢者自身の要望や対処行動の傾向など)を明らかにする、(2)(1)の結果であるニーズの枠組みに海外の慢性疼痛ガイドラインを評価した結果を当てはめ、慢性疼痛ケア基準(以下ケア基準と統一する)を作成する、(3)作成した慢性疼痛ケア基準を実際に施設で働く看護・介護職者に使用してもらい、ケア基準による実践への適用性や効果を探索することを目的に研究を行っている。平成23年度は、(1)の高齢者による疼痛ケアへのニーズの解明と(2)のガイドラインの評価を目的に研究に取り組んだ。(1)慢性疼痛のある高齢者へインタビューを行い質的に分析した。高齢者の語りから、治療への希望や痛みに支配された生活、痛みを表現することのむずかしさなどが明らかとなった。この結果は14th World Congress on Pain(2012年8月ミラノ)にて発表予定である。(2)諸外国における高齢者の疼痛管理に関するガイドラインを概観し、その動向や内容の特徴を明らかにし、慢性疼痛ケア基準構築への示唆を得ることを目的に研究を行っている。23年度は、アセスメント内容に焦点を当て、15のガイドラインを対象にその目的、推奨内容を中心にレビューを行った。その結果、疼痛アセスメントの頻度、痛みの情報源、尺度の使用、ヘルスケア専門職者の姿勢など具体的な推奨内容が明らかとなった。この研究の一部は、日本老年看護学会第17回学術集会にて発表予定である。今後、ケア内容に関するレビューを行い、それらの結果を踏まえたケア基準の構築を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、年度ごとに3つのステップにより実施する予定である。そのうちの23年度は、ニーズの解明と24年度実施予定のケア基準の作成の一部に取り組んでいる。ニーズの解明研究は、調査対象者のリクルートに時間を有しているため調査途中であるが、24年度に取り組む予定である基準の作成を前倒しで実施することで、研究の確実な達成を目指している。そのため、本研究は、当初の予定と比較し、おおむね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度1.慢性疼痛ケア基準の確立 ケア基準の統合のためのプログラムであるADAPTE Processを参考に、収集した疼痛管理ケア基準の評価・統合を行う。ADAPTEプロセスは、1)準備期間(ADAPTEプロセス計画の構築:平成24年4月まで、2)適用期間(ケア基準の収集とその評価、統合:平成24年9月まで)、3)完成のための期間(外部エキスパートパネルによる評価と精選:平成24年10月~平成25年3月)からなる。その際、ケア基準は前年度の結果であるニーズの枠組みを参考に構成する。2.高齢者のケアニーズの解明前年度に引き続き、調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は海外視察を予定していたが、科研費での視察を実施しなかったため、翌年度に経費を回すこととなった。以下は、次年度の研究費の使用計画である。【物品】文房具、プリンター用インク、関連書籍の購入等を計画している。【旅費】学会参加及び交流集会の開催、エキスパートパネル候補者への依頼のための交通費、研究の打ち合わせのための研究協力者の旅費等に使用予定である。【謝金等】資料整理(データ入力や資料作成等)、エキスパートパネルへの謝金等を計画している。【その他】発表論文の別刷り印刷、交流集会への参加を促すために、学会員へ封書の郵送等を計画している。
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