2013 Fiscal Year Research-status Report
高機能広汎性発達障害者への看護介入のための基礎的研究‐自律神経活動の日内変動‐
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23593441
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩佐 幸恵 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60432746)
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Keywords | 広汎性発達障害 / 自律神経 / サーカディアンリズム / 看護学 |
Research Abstract |
本研究の目的は,高機能広汎性発達障害(high-functioning pervasive developmental disorders:HF-PDD)の24時間にわたる自律神経活動の変化を明らかにすることである。本年度は研究の3年目にあたり,HF-PDD患者のデータ収集に努めた。 コントロールである定型発達群では,交感神経活動は身体の活動に合わせて昼間活性化し,夜間は沈静化しており,明確なサーカディアンリズムを有していた。相対的に副交感神経活動は夜間睡眠中に活性化し,昼間沈静化していたが,睡眠の数時間前から活性化し,深夜最大となり,早朝には徐々に低下していた。また,昼食後に副交感神経活動が活性化する対象者があおり,二峰性のリズムを持つ者もいた。健常者の心拍変動について24時間観察した研究は少なく,昼食後に副交感神経活動が活性化する,睡眠の数時間前から副交感神経活動が活性化するなど自律神経のふるまいについての新しい知見が得られたことは意義深い。 本研究は,HF-PDD患者は,覚醒中は常に緊張状態にさらされており副交感神経活動が抑制されているとの仮説に基づいている。本年度に得られたデータからは,HF-PDD患者においても昼間は交感神経活動が活性化し,夜間は副交感神経活動が活性化し,サーカディアンリズムを有してはいることが明らかになった。しかし,サーカディアンリズムはあるものの,覚醒時の比較的リラックス状態の時や,睡眠時においても副交感神経活動の各指標は健常者に比べて低く,HF-PDD患者では副交感神経活動が全体的に低下している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アクティブトレーサーを他の研究者と共同利用していたため日程調整が困難であったこと,HF-PDD患者の確保が困難であったことが重なり,対象者のデータ収集が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は対象者が男性だけであるが,研究協力が得られれば対象を女性にも拡大していく。得られたデータについて詳細に分析し,成果は随時関連学会で発表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
補助事業期間を延長し,次年度へ476,317円繰り越す。これは研究協力者の確保が困難だったこと等により,研究進度が遅れたことによる。 物品費(印刷消耗品)36,317円,成果発表のための旅費130,000円,翻訳・校閲のための謝金180,000円,その他,成果発表のための学会参加費30,000円,論文投稿料100,000円の合計476,317円を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)