2011 Fiscal Year Research-status Report
医療観察法病棟に勤務する看護者の感情体験に関する研究
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23593492
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Research Institution | The Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing |
Principal Investigator |
石橋 通江 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (30369087)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 医療観察法病棟 / 司法精神看護 / 感情 |
Research Abstract |
本研究は、医療観察法に基づく指定入院医療機関の医療観察法病棟に勤務する看護者を対象として、対人関係障害をもつといわれる触法精神障害者への援助過程で生じる感情体験を明らかにし、看護者の感情疲労を軽減するための支援方法を構築することを目的とする。研究期間は、平成23年から25年までの3年間で、今年度はその初年度にあたる。 具体的な活動として、触法患者ケアを困難にする要因を把握するとともに、治療を支援する看護者の揺らぎと再生のプロセスを明らかにすることを目的に、3施設の医療観察法病棟を研究のフィールドとし、エスノグラフィーを用いた調査をおこなった。調査協力の得られた医療観察法病棟に研究者として入り、通常の看護業務は行わず、申し送りやカンファレンス、治療プログラムへの参加を通じて参与観察によるデータの収集をはかった。フィールドワーク終了後は、観察メモや記憶をもとにフィールドノートを作成し、研究者間で情報の共有化をはかり、医療観察法病棟のもつ特殊な文化について把握することにつとめた。また、各病棟の管理者1名、当該病棟の勤務年数3年以上の看護師2名、1年未満の看護師2名を対象に、インタビューを実施し、インタビューによって得られた録音データは、逐語録として文字化し、参与観察によってフィールドノートに記載されたデータとともに、分析をおこなった。 分析した内容をもとに、平成24年6月に開催される精神保健看護学会において、治療困難な事例に関わったプライマリーナース、プライマリーナースを支援するアソシエートナース、病棟管理者の3名の方に話題を提供していただき、看護者の感情のゆらぎの実態とその支援方法について考える機会としてワークショップを開催する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、フィールド調査を夏季に実施する予定であったが、研究代表者自身の入院加療のために、実施を冬季に遅らせざるえなかった。そのため、年度末にデータ整理を終え、現在データの分析をおこなっている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在おこなっているデータ分析と6月に予定されているワークショップでの意見交換内容をもとに、平成24年度は、支援モデル(案)の作成をおこなう。具体的には、前年度の結果をもとに、研究者およびスーパーバイザーとの会議を行い、医療観察法病棟で勤務する看護者への支援モデル(案)を作成する。さらに、支援モデル(案)の提示とフィードバックの機会として、学会などの場を用いて、ワークショップを企画・開催し、看護者の揺らぎと再生のプロセスおよび作成した支援モデル(案)を提示する。提示した内容について、フロアから、意見を収集する。 さらに、平成25年度は、ワークショップから得られたデータをもとに、すでに作成した支援モデル(案)を再検討し、最終的に提示するモデルを構築し、公表する。 なお、調査研究の成果は随時、研究論文としてまとめ、学会発表や学術雑誌、大学紀要などへ投稿して公表する。本研究の全容は最終年度に「研究成果報告書」を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の遂行には、ワークショップ実施のための研究協力者と、結果分析の研究補助者の協力が必要であり、それに必要な費用は謝金をあてる。録音テープの文字化、編集作業は研究補助者に委託し、それに必要な費用は謝金をあてる。研修・学会参加に関する旅費を、医療観察法に基づく医療、法律、看護技術に関する研修内容を把握するために、必要経費として計上する。また、研究推進のために必要な知識の収集として、文献図書に経費を計上する。
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