2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23601017
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
齊藤 雅也 札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (20342446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻原 万規彦 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (40326492)
羽山 広文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80301935)
宿谷 昌則 東京都市大学, 環境情報学部, 教授 (20179021)
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Keywords | 想像温度 / 温熱的不快 / 小学校 / 教室 / 児童 / 温熱感覚 / 地域性 / ロジスティック回帰分析 |
Research Abstract |
平成23年度に続き、小学児童を対象に「温熱的不快」と「想像温度」の関係を解明する研究を行なった。平成24年度は、これまでの札幌と熊本に加えて、教室にエアコン(冷房・暖房)が設置されている東京も対象地にして、夏から秋期、厳冬期にそれぞれ調査を行なった。 夏から秋期は9月初旬と10月初旬の2回に分けて調査した。その結果、熊本(通風)は「暑くて不快」の児童の割合が24%から13%に、札幌(通風)は52%から42%に減少した。それに対して、東京(通風もしくは冷房)は16%から27%に増加した。東京では、児童の生理・心理が冷房室の温熱環境の影響を受けている可能性があり、初秋でも通風だけでは暑さをしのぐのが困難な状態にあることが示唆された。 厳冬期の1、2月に行なった調査の結果、札幌では、教室の室温が暖房によって20℃以上でも「暑くて不快」の児童が表れ、そのときの児童の想像温度は実際室温と同じか、高かった。それに対して「寒くて不快」の児童は実際室温よりも5℃ほど低い温度を想像していた。一方、東京では、児童の想像温度は実際室温と相関がなかった。東京は、札幌・熊本に比べて実際室温の幅が日によって15℃以上になることがあったが、教室の温熱環境の変化に対して、エアコンの発停が追随できなかったので実際室温と想像温度が乖離したと考えられる。 冬季において、児童の想像温度に対する温熱的不快の発生率をロジスティック回帰分析によって明らかにした。札幌は室温が20℃以上にも関わらず、児童の想像温度が20℃以下の場合が表れ、想像温度が下がるに連れて温熱的不快の発生率は急激に増すことがわかった。札幌と同様の傾向は東京では見られたが、熊本ではほとんど見られなかった。これは、児童の寒冷環境下での生理・心理の順応(寒冷馴化)の地域性が表れていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「人体エクセルギー収支モデル」に調査データを代入することによって、人体エクセルギー収支による地域性の違いを明らかにする研究がやや遅れているが、それ以外の基礎的なデータの収集、および数値解析は概ね順調に進展している。最終年度の研究成果によって当初の研究目標が達成される見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、これまでの調査データに基づいて、札幌・東京・熊本の小学児童の温熱的不快と想像温度の地域性に関する傾向をさらに整理する予定である。 具体的には、以下のことを実施する。1)教室の相対湿度や放射温度との対応関係をこれまで得られたデータに基づいて明らかにする。2)夏季と冬季において、児童の想像温度と実際温度、外気温度に対して、児童の温熱的不快の発生率をロジスティック回帰分析によって明らかにする。3)「人体エクセルギー収支モデル」に調査データを代入することによって、人体エクセルギー収支の地域性の違いを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者(宿谷昌則)の研究費の執行が昨年度内に完了しなかった理由は、調査データを「人体エクセルギー収支モデル」に適用する研究を最終年度に延長したことによるもので、平成25年度中に当該内容について実施する予定である。
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Research Products
(5 results)