2012 Fiscal Year Research-status Report
照射位置・投与線量検証を可能にする多方向ガンマカメラシステムに関する研究
Project/Area Number |
23602010
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
齋藤 秀敏 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (50196002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤崎 達也 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (00285058)
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Keywords | 放射線治療 / 画像誘導放射線治療 / 体内線量分布再構成 / コンプトンカメラ / ガンマカメラ / 散乱線 / エネルギースペクトル |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、コンプトン散乱光子の情報を利用しての照射位置検出、さらに強度変調放射線治療(IMRT)時の複雑な投与線量分布再構成の可能性を明らかにするシステムの開発である。この目的のためコンプトンカメラに着想し、その可能性を実証するための検出器、コリメータシステムおよび再構成アルゴリズムに関する基礎的研究を行っている。 平成24年度は高精度冷却CCDカメラを用いて、患者位置の実写画像と散乱線によるシンチレーション分布をカメラで撮影し、位置ずれなしで患者位置の実写画像に散乱線によるシンチレーション光分布を重ね合わせる方法について実証実験を行っている。実写画像と散乱線によるシンチレーション光の相対強度の最適化と双方の画像の鮮鋭化の検討結果から、現状のCCDでは感度が不足することが明らかになった。このため、同年度内に高感度の広い受講面積を持つCCDを搭載した静止画カメラを導入し、あらためて実証試験を行っている現状である。 一方、多方向収集データから3次元照射部位再構成を可能にするため、放射線治療時の患者透過光子線の定量性についての検討も行っている。これは、治療装置ヘッド、照射対象である患者、受像系であるEPIDの各々から散乱線が発生する。これは、透過光子のフルエンスから体内線量分布を再構成する目的には不要なノイズが混入することを示している。このため、空中の水衝突カーマ計測からの散乱線量算出、コンピュータシミュレーション、NaIシンチレーション検出器による計測の3方法で、散乱線のエネルギースペクトル、フルエンス、および一次線に対する散乱による線量寄与を明らかにすることを試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、患者位置の実写画像と散乱線によるシンチレーション分布を位置ずれなしに重ね合わせる技術、システムの開発が要点になる。現在、実写画像と散乱線によるシンチレーション光の相対強度の最適化、双方の鮮鋭化、散乱線検出素子の感度向上に時間を要しているため、多少計画より遅れている感がある。
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Strategy for Future Research Activity |
実写画像と散乱線によるシンチレーション光の相対強度の最適化、双方の鮮鋭化に関する研究を進める。これについては、リニアックからの照射されるX線のエネルギースペクトルから、散乱角度ごとのエネルギースペクトルとフルエンスを理論計算およびシミュレーションで求める。また、NaIを用いたエネルギースペクトル、フルエンス計測との比較を行う。これによって、散乱光子に最適な検出器の再検討を行う。さらに、実画像と散乱画像の強度調整を行う予定であり、これによって現状の問題に対する最適解を導き出す。また、コリメータの最適化により、システムのプロトタイプを作成し、照射位置・投与線量検証の可能性を明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究進捗上、既製品ではない高感度散乱光子検出器の組立部品購入に充てる計画である。さらに、これまでの研究成果発表のための国内旅費、研究打合せのための旅費を計上している。また、実験補助者の雇用、その他学会登録費として助成金を使用する。 研究目的を達成するため、当初計上の旅費を高感度CCDカメラ購入費用として充てたことにより余剰金が発生した。余剰金は次年度において研究成果発表のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)