2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23611001
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
阿久津 洋巳 岩手大学, 教育学部, 教授 (10374860)
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Keywords | 文字の空間配置 / 縦書きと横書き / visual span / crowding / 書の美的効果 |
Research Abstract |
最終年度には、第1に縦書きと横書きの読みやすさの実験データを追加し、解析を実施した。読みやすさの指標として、文字に対する視野の大きさ(visual span)を使った。視野の大きさからみて、縦書きよりも横書きが読みやすいことが確認された。また、この傾向はアルファベット圏(欧米)に限らず日本人でも同様であることが確認された。研究成果は、研究会(電子情報通信学会研究会)で発表された。 第2に文字のcrowding効果を調べた。crowding 効果とは、文字同士が空間的に接近して置かれたときに、間に挟まれた文字の認知が低下する現象である。アルファベット文字を使い、視野の中心からすこし外れたところに提示された3文字の中央の文字を検出する課題を、日本人とアルファベット言語を母国語とする学生で実施した。日本人とアルファベット言語を母国語とする学生間で、crowding 効果に違いはなかった。普段読みなれている文字の解像度(空間周波数)が、crowding効果に影響するという仮説は支持されなかった。 第3に縦書きと横書きの読みやすさを調べた。読みの速さからみると縦書きと横書きに読みやすさの違いはなかった。 研究1~2年目は、「書の文字の美しさ」を研究に加えた。書の点画構成による美的効果を測定する尺度を開発した。均整美、活動性、力量性の特性が見出された。対象に月と折の文字を使い、標準文字と特定の画の長さや角度を変形させた文字を比較したところ、均整美と活動性の評価において、標準文字の評価が高かった。2番目に、「左右の払いに関わる点画構成」が与える美的印象を測定し、「払い」については、装飾画である払いを強調し、顕在化する構成が、均整美の評価を上げることが分かった。払い(しんにょう)を短くする構成は、均整美とともに開放性や力量性の評価を下げた。(「書の文字の美しさ」は平田光彦との共同研究)
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Research Products
(3 results)