2013 Fiscal Year Annual Research Report
スタイル画の感性価値を活かした衣服デザインの創造的設計支援システムの開発
Project/Area Number |
23611035
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
森下 あおい 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (10230111)
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Keywords | デザイン画 / 変形 / 人体 / 衣服 / パターンメーキング / ファッション |
Research Abstract |
ファッション誌『装苑』の新人向けコンテストの作品から,自然な立位姿勢のデザイン画131点と,実際の衣服を撮影モデルが着た写真(実物写真)を収集した.まず人体に施されるデフォルマシオン(変形)について定量的に分析するため,デザイン画の画像に骨格モデルを当てはめて,プロポーションに関する人体寸法13項目を抽出した.相関分析の結果,人体の変形は頭部の大きさと,身体の幅で概ね説明できることが判明した.次に衣服の変形について分析するため,デザイン画と実物写真に衣服のモデルを当てはめて,シルエットに関する衣服寸法5項目を抽出した.両者の違いを分析したところ,人体では説明できない衣服固有の変形が存在すること,また実衣服の寸法はデザイン画から予測できる可能性があることが分かった.これにより,第一の目的であったデフォルマシオンの解明が達成された. これらの知見に基づいて,実際にデザイン画から人体と衣服のデフォルマシオンを取り除く手法を考案した.この手法と従来の人体についてのみ変形を取り除く手法とを用いて、ワンピース70作品のデザイン画を,デフォルマシオンを除いた標準画へと変換した.どちらの手法による標準画が、より実物写真に近いかを服飾の専門家6名に評価させたところ,48作品で本研究の提案法が支持され,3作品では従来法が支持された.すなわち従来法より高い精度で実衣服の形態を予測できたことが分かった.提案法は,衣服デザイン設計支援システムの基盤技術となるものである.これと関連研究と組み合わせれば型紙への変換や,3次元的可視化が理論上,実現できる. また変形を分類することで,標準画への変換精度の向上が期待できる.このため,デザイン画を追加収集し,過去40年の222点の頭身数と,身体の幅を表す肩幅の推移を分析した.これにより,人体の変形の特徴は3つの年代に分類できることが分かった.
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