2012 Fiscal Year Research-status Report
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23614022
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
山田 晴通 東京経済大学, コミュニケーション学部, 教授 (40191324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東谷 護 成城大学, 文芸学部, 准教授 (10453656)
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Keywords | ポピュラー音楽 / 観光 / 博物館 / 社会教育 / 地域振興 |
Research Abstract |
研究2年目にあたる平成24年度には、継続して日常的に関連する文献、資料等の収集にあたるとともに、日本国内および米国において、ポピュ ラー音楽に関わる各種の展示施設への訪問に重点を置いた現地調査を実施した。 研究代表者・山田は、おもに国内で群馬県渋川市および新潟県新潟市(11月)、長野県中野市および野沢温泉村(12月)、沖縄県那覇市および沖縄市(1月)、兵庫県神戸市(3月)などで、ポピュラー 音楽の歴史に関わる博物館、記念館、史跡などへの現地調査を継続し、各地の地元図書館・大学図書館等で資料収集にあたるとともに、博物館等の観光資源としての利用状況などについて、施設の観光資源としての活用に取り組んでいる地方公共団体やNPO法人の関係者などへの聞き取りをおこなった。 研究分担者・東谷は、台湾で、中央研究院台湾史研究所・陳培豊氏との研究交流を行ない、また、現時点までに山田・東谷両名が収集してきた資料の分析にあたった。一連の調査や資料の検討を通して、展示施設等の観光資源化に関して、おもに日本国内における多様な取り組みについての知見が蓄積されることにより、前年度に知見を蓄積した米国の事例との比較検討を深めることができた。これらの研究成果の一部は、既に山田による学会発表および勤務校の紀要論文として年度内に公表されているが、さらに山田、東谷そ れぞれの論文の準備を進めている。 しかし、遺憾ながら、教育・研究以外の本務校の業務との関係から、前年度の段階で計画していた米国における現地調査(フィールドワーク)は、十分な調査のための日程が捻出できず、実施することが叶わなかった。このため、この米国における現地調査は、最終年度である平成25年度に実施することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き、本研究の推進に参考となる基礎的な文献については、おおむね順調に収集、消化できている。 しかし、平成24年度においては、遺憾ながら、教育・研究以外の本務校の業務との関係から、前年度の段階で計画していた米国における現地調査(フィールドワーク)は、十分な調査のための日程が捻出できず、実施することが叶わなかった。このため、この米国における現地調査は、最終年度である平成25年度に先送りして実施することとした。平成23年度における米国の事案についての知見の蓄積に上乗せする形で、平成24年度には日本の事案に関する知見を蓄積し、特に日本における小規模施設の立地特性について検討した成果を論文にまとめ、刊行した。また、特に日本においては、博物館等展示施設と、地元地方公共団体や地域内に存在する各種の民間団体や、営利企業などとの連繋が、観光資源の掘り起こしという観点からみて、重大な鍵を握っているものと考えられることが示唆された。 こうした理解の深まりを踏まえ、最終年度である平成25年に向けて、日米の事例から得られた知見に基づいて抽象化された理論的枠組の明確化を目指し、代表者・分担者の間の議論を通して共通の理解を深化させた。 また、同様に最終年度に向け、より実際的な政策提言を検討する事例検討の対象地候補として、沖縄県那覇市および沖縄市、これと比較対象する事例検討の対象地候補として、兵庫県神戸市を選び、博物館等展示施設を中心に、既存の地域的音楽イベントや、コミュニティ放送局の活動などとの連繋も議論の射程に入れた検討を行うべく、予備調査として限られた数ながら関係団体等への聞き取りなどを行なった。予備調査を通して、それぞれの地域における現時点での取り組みの優れた点とともに、問題点や課題も含め、実効性のある政策提言に繋がる論点を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、当初は平成24年度中に実施する予定であった、平成23年度の米国現地調査への追加調査として、現時点で調査に入っていない米国本土西海岸諸州に立地する事例や、特に重要と判断される中西部、東部などの施設を再度訪問して聞き取りを行う。再調査対象の具体的な候補としては、クリーブランドのロックの殿堂博物館、ニューヨーク州ベセルのベセルウッド 芸術センターなどが挙げられる。また、日本国内外を問わず、現時点で(本研究外も含めて、 研究に参加する両名のいずれもが)現地を訪れていない主要な施設について、可能な範囲で現地調査を行い、検討対象事例を積み上げ ることにも努める。 山田については、1回ないし2回の渡米機会をもち、のべ2-3週間ほど滞在して現地調査を行うことを調整中である。 研究最終年度の主要課題として、日米の事例から得られた知見に基づいて抽象化された理論的枠組を明確化するとともに、個別具体的な事例検討を通したより実際的な政策提言を行なうことを目指し、平成24年度に対象地候補として選んだ沖縄県那覇市および沖縄市と、兵庫県神戸市において、地方公共団体、博物館等展示施設、観光事業関係者などへの聞き取り調査などを行なう。 また、文献・資料収集を通した知見の蓄積も引き続き進めるとともに、研究代表者・分担者の連絡を一層密にして議論の機会を設け、論文執筆に取り組む。さらに、学会などの機会を通して成果の発表に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度においては、代表者・山田の大学における教育・研究関係以外の業務負担が増大したため、予定していた米国での現地調査(追加調査)が実施できず、結果的に、そのために用意された出張旅費などが執行されず、平成25年度に繰り越された。繰り越した分については、前項目に概要を記したように、平成25年度において適切に執行する。なお、繰り越し分については、研究代表者である山田 が全額を執行する予定である。これは平成23年度および平成24年度における繰り越しが、山田の執行分から生じていることを踏まえた措置である。 平成25年度においても、当初計画に準じ、現地調査のための旅費の比重が大きくなる。 また、事例検討の対象地がある沖縄県および兵庫県への出張機会は複数回となる見込みであり、 併せて成果発表の機会が昨年より若干増加するため、国内旅費が生じることが見込まれる。分担者・東谷は、おもに資料分析を担当するが、国内の現地調査の一部については山田との共同調査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)