2013 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル観光の原初的形態としてのヒルステーションに関する総合的研究
Project/Area Number |
23614023
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
稲垣 勉 立教大学, 観光学部, 教授 (10151573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 健一 立教大学, 観光学部, 教授 (70269281)
白坂 蕃 帝京大学, 経済学部, 教授 (40014790)
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Keywords | 国際研究者交流 / ベトナム: マレーシア: カンボジア / ヒルステーション / 観光のグローバル化 / 人の移動 / ポストコロニアル |
Research Abstract |
本研究の目的は、宗主国によって植民地に建設された避暑地・ヒルステーションの現状を、領域横断的なアアプローチで明らかにすることである。ヒルステーションは観光・レジャーを通じた国際間の文化接触の先駆けであり、現在でも観光地として機能し続けている。具体的な研究内容としては、リゾートの祖型のひとつであるヒルステーションの現状分析を通じて、その新興国民国家の観光状況における位置づけを明確化することを目指した。さらに現代観光に残る植民地期の影響分析をおこなうことで、急速なグローバル化の下における、「人の移動」「文化接触」の様態としての観光とポストコロニアル状況との関係を明らかにし、ヒルステーションの現代的な意義を明らかにすることを企図している。 平成25年度は研究計画の最終年度として、マレーシア、ベトナム、スリランカにおける現地調査と、フランス、タイにおける資料収集を中心とした研究活動を実施した。その結果、急速に拡大する国内観光を通じた新興国民国家によるヒルステーションの町並みや避暑地的ライフスタイルに至る植民地遺産の「取り戻し」の様態を、これまでの研究成果をもとに、より精緻なかたちで定式化し、経済的に急成長する新興国家の国内観光を理解する、新しい理解の枠組みを提示したと考えている。 またマレーシアのヒルステーションにおける日本人リタイヤメント・コミュニティ、スリランカのヒルステーションにおける中東からの観光客など、従来の宗主国-植民地関係を越えた国際間の「人の移動」を明らかにすることで、観光のグローバル化とアメニティ・マイグレーション(良好な気候条件を求める移住行動)との関係を考察する基礎的な視座を確立することに貢献した。
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Research Products
(5 results)