2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23614025
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
安島 博幸 立教大学, 観光学部, 教授 (30159199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 和夫 立教大学, 観光学部, 教授 (10157745)
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Keywords | 観光地 / 盛衰理論 / 観光地の価値 |
Research Abstract |
前年度の研究結果を踏まえ、盛衰に関する理論的検討を行うとともに、温泉地および歴史的町並み観光地について現地調査を実施し、歴史的にみた観光地としての盛衰の実態を明らかにした。 温泉地については、福島県にある飯坂温泉を調査した。かつては東北一栄えた温泉であったが、20年ほど前から大型旅館の倒産が相次ぎ、温泉地としての活気が失われている。川沿いの大型旅館が軒並み廃墟のような状態で放置されている現状に至るプロセスは、概ねこれまでに構築した理論モデルによって説明ができるものであると考えられる。しかし、このような中からでも、将来の展望につながるような新しい再生の兆しがでてきていることは、温泉地再生へ向けての理論を見直す必要があると考えられた。 町並み観光地については、愛知県豊田市足助町を対象に現地調査を行った。豊田市と合併する前の旧足助町時代は、全国でも観光まちづくりの先進地として有名であり、視察対象地としても良く知られていた。24年度も、持続的に発展する観光地として調査を行ったが、予想に反して多くの問題を抱えており、観光地の盛衰理論を検証する良い機会になったと考えている。すなわち、豊田市との合併に伴う問題、担当者の高齢化などによって、あらたな価値創造が行われなくなっていることが、明らかになったが、理論的に明らかになった問題を政策に結びつけていくための検討も必要に思われた。 24年度前半までの成果については、12月に開催された日本観光研究学会全国大会において『観光地の成長・発展と衰退のメカニズムに関する理論モデル』として発表を行った。また、温泉についても関連の学会で報告を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が、学内組織である観光研究所の所長を務めていて多忙であったこと。研究分担者が学部長職にあって忙しく、また研究協力者が地方の大学に職を得て赴任したことなどにより、研究打合せ、および現地調査の日程を調整することが難しかったことが大きな要因である。 25年度は、研究代表者が、前学期の間、研究休暇を取っているので、多くの時間を本研究に向けることができるので、これまでの遅れを回復したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度において、『観光地の盛衰要因に関する実証的研究』で行ってきた一連の研究成果をまとめ、観光地がなぜ、栄枯盛衰をするのかについての原因を明らかにし、理論モデルを構築できる見通しができると考えている。この成果は、これまで商品ライフサイクル理論をもとにしたR・バトラーのモデルを超えた”観光地の価値の変動”に着目した新たな理論の提示である。観光地の計画においても、この理論をベースにすると取り組むべき方策も自ずとこれまでとは異なってくると考えられる。 今後は、理論の妥当性をより多くの事例によって検証することが重要であると考えており、ケーススタディを重ねる予定である。また、豊田市足助町の調査から明らかになったように、理論的な説明ができても、現実の政策・取り組みに直結する解決策が求められないこともこれからの課題と考えており、理論から実際の課題解決が提案できるように、より具体的・実践的な研究としていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は研究打合せ、現地調査の日程調整が難しかったことにより、これにあてる予定でいた旅費を中心として費用が残った。 また、25年度分の助成金は次年度使用額と合わせ、研究打合せ、現地調査、学会参加などのための費用、また報告書作成のための費用に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)