2013 Fiscal Year Annual Research Report
不飽和脂肪酸の母児間移行と児の成長・発達に与える影響
Project/Area Number |
23617025
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Research Institution | Kagawa Nutrition University |
Principal Investigator |
川端 輝江 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (80190932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲井 邦彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291336)
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Keywords | n-3系多価不飽和脂肪酸 / 母児間移行 / n-6系多価不飽和脂肪酸 / 臍帯血 / 母体血 |
Research Abstract |
本研究では、環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」と連携し、コホートを確立し、疫学調査を展開、母親から児へのn-6系及びn-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)の移行について検討を行った。 研究期間3年間の中で、エコチル調査の宮城ユニットセンターに登録し、さらに、本研究に同意した者のうち、523名分について母児脂肪酸分析が完了した。母親からの血液採取は妊娠中期(28週頃)で1回(5ml以下)、分娩時には臍帯血を採取し、ガスクロマトグラフィーによって赤血球中脂肪酸組成分析を実施した。また、一部の対象者に対しては、妊娠中の経日的変化を見る目的で、27週、30週、36週、分娩直後、産後4週について、貧血検査の残試料を用いて、赤血球中PUFA分析を実施した。対象母児の基本属性 母親年齢、妊娠前BMI、妊娠期間中の体重増加量、出産歴、喫煙および飲酒習慣、教育歴、家庭の総収入等についてのデータは、エコチル本調査と連携しつつ収集を行った。 本研究より、臍帯血赤血球中PUFA組成の決定要因として、母親の体内PUFA組成が大きく影響を与えており、母から児への移行が重要であることが示された。しかし、胎児期に必須とされるDHAにおいては、母体血に比べて臍帯血が低値を示したこと、妊娠期間中に母体血DHAの低下は見られなかったことから、本研究対象者である母親の体内DHAは、末期に高まる児の需要をほぼ満たしていた可能性が示唆された。 今後、対象児の成長・発達に伴い、体内PUFAと体格や神経学的な発達との関連性について、さらなる解析が可能と考える。母体血n-3PUFA組成は、母親の魚介類摂取によって高まることから、魚介類摂取のベネフィットについても、実証的なエビデンスの蓄積が可能となった。
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Research Products
(3 results)