2011 Fiscal Year Research-status Report
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23617031
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
塚原 丘美 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 准教授 (00387911)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 耐糖能異常 / やせ型 / インスリン分泌 / インクレチン分泌 |
Research Abstract |
1、スクリーニング75gOGTT平成23年5月に20~21歳の女子大学生134名(BMI:20.5±2.4)を対象として75gOGTTを行った。その結果、糖尿病型10名(7%)、1時間値が180 mg/dl以上の境界型24名(18%)、1時間値が180 mg/dl未満の境界型21名(16%)、正常型79人(59%)であった。これまでに行った約1,000人の割合と同様に、この度も約4割の対象者が異常を示した。やはり、やせ型若年者の耐糖能異常の原因の追及とその対策が急務である。2、介入試験 スクリーニング75gOGTTで異常を示した者のうち承認が得られた18名を対象者として、正式な75gOGTTを行った。その中で異常が認められた10名を介入試験被験者とした。3ヶ月の介入項目は炭水化物の摂取量とした。期間中に2名の被験者が途中辞退を申し出たため、8名の被験者になった。 その結果、摂取エネルギーの増加による血糖、血中脂質およびBMIの変化はみられなかった。インスリン初期分泌量を示す⊿IRI(0-30分)値は介入後に6名が増加し、このうち異常な低値を示していた3名は大幅に上昇した。GLP-1については、60分値、180分値及びAUC(area under the curve)は介入後に有意に低値を示した。また、GLP-1は非常に個人差が大きく、インスリン分泌量と相関して分泌されている被験者と経時的変化が見られない被験者が存在した。この結果から、毎日、規則正しく炭水化物を摂取することで、インスリン分泌機能は回復する可能性が示唆される。これに対してGLP-1分泌が低下した。また、糖負荷によってもGLP-1分泌に変化がなかった被験者が存在することから、GLP-1によるインスリン分泌促進は補助的な機能であり、インスリンが十分に分泌される場合には、GLP-1は分泌されない可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は、約150名の若年女性に対して簡易血糖測定器を使用してスクリーニング75gOGTTを施行して、その中の耐糖能異常者に対して食生活改善に関する介入試験を行う予定であった。介入試験前後の75gOGTTではグルコース、インスリン分泌及びGLP-1分泌より、介入項目の効果および耐糖能異常発症機序について検討する予定であった。予定通り、スクリーニング75gOGTTでは例年通りの結果(耐糖能異常者の割合)が得られ、これは想定通りであった。このうち同意が得られた18名に対して正式な75gOGTTが実施できた。この段階では20名を予定していたので、ほぼ予定通りであった。しかし、この75gOGTTで耐糖能異常、インスリン分泌異常およびGLP-1分泌異常のいずれかが認められた者は10名にとどまった。さらにこの10名を対象にして介入試験を行ったが、2名の被験者が途中辞退したために最終の結果が得られた被験者は8名であった。これは目標(10~15名)まで達しなかった。辞退の理由は家庭の事情によるものである。 このように概ね予定通りの研究は実施できたが、GLP-1を測定した被験者数が想定よりも少ない結果となった。残りの2年間で目標まで被験者数を集める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた結果は、被験者数が少ないものの、概ね想定通りであった。このまま被験者数を増すことができれば一定の見解が得られる可能性は高い。24年度についても、23年度と同時期に介入試験を行う予定である。すなわち、5~6月に約150名の若年女性に対して簡易血糖測定器を用いた75gOGTTを施行し、この時に耐糖能異常を示した者を被験者として11月末に75gOGTTを行った後、12月より3ヶ月間介入試験を行う。介入項目は23年度と同様に炭水化物摂取量(23年度と同じ条件)とする。3月初旬に介入後の75gOGTTを行い、データの分析を行う。 23年度の結果については第56回日本糖尿病学会年次学術集会に演題登録あるいは名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報に投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヒトGLP-1 測定について、23年度申請時には大学内で測定する予定であったが、日本糖尿病学会が示した基準を満たすために、その測定をすべて臨床検査センターへ委託することにした。そのために直接経費使用内訳変更を申請した。 24年度使用計画はほとんど23年度の使用状況と変わらない。主には11月と3月に行うOGTT時の血液生化学検査の委託費とその血液処理に使用する試薬で使用する。
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