2012 Fiscal Year Research-status Report
ストレス性睡眠障害モデルを用いた不眠症改善物質スクリーニング系開発とその応用
Project/Area Number |
23617040
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宮崎 歴 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (70358125)
|
Keywords | サーカディアンリズム / 睡眠 / ストレス / 体温 / 体内時計 / モデル動物 |
Research Abstract |
マウスの水に対する嫌悪感を利用し、回転輪上で飼育するという新しいストレス負荷方法(PAWWストレス)をマウスに与える事で日内行動リズム、睡眠リズムおよび体温リズムなどが乱れる事を昨年度に見いだしていた。今年度はさらに補足的データとして、血液中カテコールアミン(ノルアドレナリン、アドレナリン)の上昇を確認し、PAWWストレス下のマウスでは交感神経系の優位が起きていると考えられた。これらの研究結果より、PAWWストレスにより睡眠障害モデルマウスを作成できると判断した。次に、この睡眠障害モデルマウスに睡眠改善薬の効用が認められるかを検討した。照明点灯後に活動が活発に認められる睡眠障害モデルマウスに睡眠障害改善薬として利用されているエチゾラムを照明点灯時に投与する事により、マウスの過活動な行動を鎮静化することはできた。しかしながら、本モデルマウスで認められる活動期での活動量低下(覚醒不良)を改善する事は出来ず、これまでのヒトの睡眠薬治療でみられるような副反応に似た傾向が認められた。これらの成果の口頭発表及び論文発表をした。 これまでのストレス負荷をより効率的に行い睡眠障害モデルマウスを作成するために、PAWWストレス専用の飼育ケージの開発も行った。回転輪にマウスをとじこめて飼育し、回転輪からの摂餌/飲水を可能なケージで、省スペース化も実現した。このケージを特許として出願した。 PAWWストレスからマウスを解放すると、睡眠障害パターンは徐々に改善される。しかし、活動期の活動量の回復には1週間以上を要した。このことはPAWWストレスにより睡眠障害モデルマウスにうつ傾向を発症する可能性を示唆した。そこで、本睡眠障害モデルマウスにおいてうつテストを行った。ショ糖に対する嗜好性を利用したうつテストでは、睡眠障害モデルマウスにおいてうつ傾向が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度投稿した論文のリバイスに大変時間を要したが、今年度中に発表を完了する事が出来た。また、本研究課題をベースとした特許出願2件をおこない十分な成果を達成する事が出来たと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は昨年度開始した、精神疾患傾向の検証をさらに進めるとともに、睡眠障害改善物質のスクリーニングや既知薬の効用などを進める事を計画している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は睡眠障害の引き起こす精神科学的解析を進めるとともに、睡眠障害のバイオマーカー探索のためのメタボローム解析の委託を計画しており、次年度への繰り越し分と合わせた研究費の使用を予定している。
|
Research Products
(8 results)