2011 Fiscal Year Research-status Report
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23617042
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
高橋 眞由美 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50133632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 孝彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (40301791)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | コエンザイムQ |
Research Abstract |
栄養補助食品の1つであるコエンザイムQ(CoQ)が老化や寿命に与える影響を解析する目的で、CoQ合成量の少ないトランスジェニック(clk-1-/-)マウスを用いて解析を行なっている。マウスの寿命解析には長時間(約3年)を要するため、本年度は寿命解析に必要なclk-1-/-Tgマウスの頭数を確保することを最優先にした。clk-1+/-Tgマウスとあるいはclk-1-/-Tgマウスとclk-1+/-マウスとを交配し自家繁殖することにより野生型(clk-1+/+)マウスとclk-1-/-Tgマウスを得た。2種類の遺伝子型マウスはともに順調に増え、解析に必要な頭数をほぼ確保した。こうして自家繁殖した寿命解析用マウスを用い以下に述べる非侵襲性の解析を行ない、以下の結果を得た。(1)体重:計測を行なった8週齢より、clk-1-/-Tgマウスは野生型マウスに比べ雌雄とも有意に低体重であった。 (2)酸素消費量:野生型マウスに比べclk-1-/-Tgマウスで雌雄とも有意に低下していた。 (3)自発行動量:野生型マウスに比べclk-1-/-Tg雄マウスで有意に低下していたが、雌では有意差が見られなかった。(4)体組成の解析:研究所現有の小動物用体組成測定装置(GE Healthcare、DXA)が故障し、且つ製造中止機種であったため修理不能で、体脂肪量の測定は実現できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の第1目標である、寿命解析に必要な頭数のトランスジェニック(clk-1-/-Tg)マウスおよび野生型マウスを確保できた事と、想定外の測定機器の故障を除けば、予定していた非侵襲性の解析を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き寿命解析用マウスを用いて、adult(10-12ヶ月齢)および老齢(20-24ヶ月齢)に達したマウスについて酸素消費量、自発行動量の計測を行う。またadult(10-12ヶ月齢)期以降に水溶性CoQの飲水投与を開始する。侵襲性の解析を行うため自家繁殖を継続し、必要な匹数のトランスジェニック(clk-1-/-Tg)マウスおよび野生型マウスを確保して、以下の解析を行う予定である。1.活性酸素の発生量:これまでにトランスジェニック(clk-1-/-Tg)マウスの方が野生型マウスに比べ酸素消費量が有意に低いという結果が得られている。一般に代謝が低いほど、活性酸素の発生が抑えられる事が報告されている。そこで蛍光色素DCFDAやMPECあるいはDHEを用いて、活性酸素種(過酸化水素あるいはスーパーオキシド)の同定を行う。2.酸化ストレス傷害: DNA、タンパク質および脂質の酸化ストレス傷害の指標産物である8-OHdG、カルボニル化タンパク質および過酸化脂質の量を測定用キットを用いて比色定量し、トランスジェニック(clk-1-/-Tg)マウスにおける酸化傷害の程度を解析する。3. 寿命:死亡マウスの週齢および個体数から生存曲線を求め、統計処理(SPSS)を行い、CoQ量の違いによる寿命への影響を評価する。様々な理由により小型化(低体重化)したマウスの寿命が延長するという報告がなされている、本研究で解析を行なっているトランスジェニック(clk-1-/-Tg)マウスも野生型マウスに比べ低体重であることが今年度の解析から明らかとなった。そこで、なぜCoQの産生量が少ないと体が小型化するのか、その理由を解析する。手始めに血清中のインシュリン様増殖因子1(IGF‐1)の濃度を測定を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降も寿命解析と侵襲性の解析に多くのマウスが必要となるため、第1にマウスの繁殖及び維持のための経費が必要となる。 次に活性酸素種を定量するための蛍光色素、酸化傷害を測定するためのELISA用測定キット、またIGF-1シグナル経路を解析するための、IGF-1リセプター(IGF-1R)やリン酸化IGF-1R抗体等の購入に経費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)