2011 Fiscal Year Research-status Report
先端記憶デバイスを利用する記憶階層の再構築に関する研究
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23650026
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
佐藤 寿倫 福岡大学, 工学部, 教授 (00322298)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 計算機システム / システムオンチップ / ハイパフォーマンス・コンピューティング / フラッシュメモリ / 相変化メモリ |
Research Abstract |
提案書では,23年度は情報収集と文献調査の実施に注力する計画となっている.国際会議の会議録を中心に調査を実施した.調査結果に基づき,本課題の研究推進方針を決定した.次世代メモリとして検討されているものにはいずれも長所短所があり,最有力な候補を特定できない.そこで,特定のメモリを想定しないでシミュレーションを行ない,次世代コンピューティングシステムに必要なメモリ諸元を導き出し,それに基づいて有望な次世代メモリを特定しその改善に努める. 一方,CPUシミュレーションとGPUの利用により,次世代コンピューティングシステムの初期評価を実施した.具体的には省電力志向でオンチップメモリの小さなCPUを想定したシミュレーションと,最適化問題の代表として巡回セールスマン問題を選択しGPU上での実装とを行ない,予備評価を行った.結果は,電子情報通信学会総合大会ISS特別企画「学生ポスターセッション」で報告した.中でもGPU上での巡回セールスマン問題解法については参加者の関心を呼び,多くの質問を受けることが出来た.今回の結果ではメモリの利用法に課題があることがすでに判明しており,その知見を次世代メモリの研究に結び付けたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先端記憶デバイスを利用した新たな記憶階層の構築が本研究の目的である.23年度は研究計画に従って先端記憶デバイスの文献調査を行ない,それらの物理的な制約についての知見をまとめることが出来た.それらはDRAMに代表される既存の先端記憶デバイスが持っていない利点を備えている一方で,既存のコンピュータシステムで利用しづらい特性を持つことがわかった.単純に既存デバイスを置き換えるだけでもコンピュータシステムの性能にある程度の改善が期待できるが,記憶階層の再構成までを視野に入れると,性能と電力の両面で大きな改善が出来ると思われる.調査の結果,現在のところ性能面に関する研究は進んでいるが,電力面の研究が遅れていることがわかった.24年度以後の方針として,電力について注力的に検討することとする.以上のような知見を得ることが出来,研究は概ね順調に進んでいると結論できる.
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は評価環境の構築が最優先課題である.提案書ではソフトウエア外注によりシミュレーション環境を構築する計画であったが,その申請額のほぼ同額が認められなかったため,外注を断念し研究従事者で開発することに計画変更する.そのため,23年度から継続する計画であった情報収集・文献調査を,院生だけでなく研究代表者も行うことに計画変更する. 評価環境が完成したら直ちにシミュレーションを実施し,有望な次世代メモリの特定を行う.評価結果は国内開催の研究会・ワークショップ等で報告する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度に予定していた情報提供者の招聘は,研究代表者が東京出張して情報交換することで代行し,謝金の必要が無かった.予定していた大学院生の研究補助者一名を手当できなかったために実験補助に対する謝金が必要なかったこと,また情報収集のために予定していた海外出張が出来なかったことから,研究費に余裕が出来た.一方で,手当できなかった研究補助者を補うために四名の学部生に研究補助を依頼したため,コンピュータの需要が増えたこと,また研究成果報告に必要な旅費が増したことがあり,研究費の要求が増えた.結局,両者はほぼ相殺され,若干の繰越金(10,767円)が生じた, この繰越金を加えてもソフトウエア外注に必要な金額には足りないため,それを断念し,24年度の研究費を,成果発表・情報収集のための国内および海外旅費,そして学会参加費を中心に支出する.加えて,少額の消耗品購入に充てる.
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Research Products
(3 results)