• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

再生途切れのない没入型コンテンツの放送型配信に関する研究

Research Project

Project/Area Number 23650050
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

義久 智樹  大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (00402743)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords情報通信・放送 / 情報システム / インターネット高度化 / ビデオオンデマンド / ストリーミング
Research Abstract

近年普及している3D放送の次は没入型コンテンツである。没入型コンテンツとは視聴者が映像の空間に没入して楽しめるコンテンツであり、没入型ディスプレイに表示される。データサイズが莫大なため、従来の放送方式で没入型コンテンツを放送すると再生途切れ時間が非常に長くなる問題がある。再生途切れ時間とは、再生開始時刻までにデータの受信が間に合わず、再生が途切れている時間の合計を示す。本研究では、この再生途切れ時間を短縮するだけでなく、再生途切れのない没入型コンテンツの放送型配信を目的とする。この目的を達成するために、従来、放送帯域の無駄使いと考えられていた「蓄積再生」を用いる。 放送帯域や放送チャネル数が異なる様々な放送設備が考えられる。放送設備ごとに再生途切れのない没入型コンテンツの放送型配信を実現する放送スケジュールが異なるため、初めからすべての放送施設に対して有効な手法を考案することが困難である。そこで本年度は、我が国の地上波デジタル放送を想定して研究に取り組んだ。提案手法では、没入型コンテンツを連続変化データと非連続変化データに分けて放送スケジュールを作成する。シーンごとに連続変化データと非連続変化データがあり、再生端末は繰り返して再生する非連続変化データを蓄積再生する。余剰帯域を用いて将来のシーンの非連続変化データを配信しておくことで、再生途切れ時間を短くできることを明らかにした。さたに本年度は、地上波デジタル放送だけでなく、インターネット放送を想定して研究に取り組んだ。インターネット放送では、再生端末間でデータを送受信するP2P技術を用いることで、再生途切れ時間を短くできる。シーンの再生に必要な非連続変化データを連続変化データよりも優先して受信することで、再生途切れ時間を短縮できることを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初の計画では、放送型配信としてテレビや衛星放送といった電波放送のみを想定していた。しかし、研究が予想以上に進展し、電波放送だけでなくインターネット放送を想定して没入型コンテンツを放送型配信する手法の提案にも至った。この点で、本研究は当初の計画以上に進展しているといえる。 電波放送では、放送帯域や放送チャネル数が決まっており、連続変化データや非連続変化データの配信にかかる時間を正確に計算できる。提案手法では、これらのデータの配信にかかる時間と再生開始時刻を考慮して再生途切れ時間が短くなるように放送スケジュールを作成している。あらかじめ計算で配信完了時刻を求められるため、再生途切れ時間を確実に短縮できる。しかし、インターネット放送では、有線や無線といった通信媒体や他の通信といった通信状況によって放送帯域が変化するため、連続変化データや非連続変化データの配信にかかる時間を正確に計算できない。電波放送ではあらかじめ計算で配信完了時刻を求められたが、インターネット放送では求められず、この点で電波放送に比べてインターネット放送で再生途切れ時間を短縮することは非常に難しい。インターネット放送における没入型コンテンツの放送型配信では、再生途切れ時間を短縮するために、電波放送の場合とは異なる手法が必要になる。そこで提案手法では、再生端末間でデータを送受信するP2P技術を用い、データの緊急性と希少性を考慮して配信するデータを決定している。緊急性と希少性が大きいデータを配信することで、再生途切れ時間を短縮できる。以上のように、当初の電波放送のみではなく、他の手法が必要なインターネット放送も想定して没入型コンテンツを放送型配信する手法の提案にも至った点で、本研究は当初の計画以上に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度には、平成23年度に研究した我が国の地上波デジタル放送における再生途切れのない没入型コンテンツの放送型配信方式を進化させ、他の放送設備でも再生途切れのない没入型コンテンツの放送型配信を実現する放送スケジュールを明らかにする。例えば、地上波デジタル放送では放送帯域は5.6Mbpsで放送チャネルは4個まで使える。しかし、ワンセグメント放送では放送帯域は1.4Mbpsで放送チャネル数は1個であり、衛星放送では放送帯域は24Mbpsである。放送帯域が異なると現実的な解像度で配信できる連続変化データに必要な帯域幅が異なり、また放送チャネル数が異なると適切な放送スケジュールが異なるため、放送設備に合わせて放送スケジュールを明らかにする必要がある。さらに、インターネット放送においても、有線通信だけでなく、近年普及しているWiMAXやLTEといった無線通信を用いた没入型コンテンツの放送型配信に関しても研究する。 平成25年度には、単純に最初から最後まで通常速度で再生するだけでなく、早送りや巻き戻しといった再生方法にも対応する。あらかじめ、早送りや巻き戻しの最大速度を規定しておき、その速度で早送りや巻き戻しを行っても再生に途切れが発生しないように放送スケジュールを作成する。電波放送だけでなく、インターネット放送も想定して研究を進める。研究代表者は、没入型コンテンツでない普通の映像コンテンツの放送型配信において早送りや巻き戻しを行う場合の研究をしてきており、これらの研究で得られた知見を生かせる。対象とする放送設備と再生方法(早送り、プリフェッチ)を広げていくことで本研究をスムーズに進める。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。物品費:プログラム開発用のパソコンや、大容量のバックアップ用HDなどの消耗品を購入するために使用する。研究内容をまとめた論文を配布して成果をアピールするため、論文別刷り代に使用する。また、放送型配信関連技術の詳細を調べるため、関連書籍の購入費にも使用する計画を立てている。旅費:国内外の調査、国内成果発表、外国成果発表のために使用する。謝金:放送型配信関連技術の講演謝金等での使用を計画している。その他:論文掲載料や学会参加費のために使用する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2012 2011 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 放送通信融合環境における再生途切れ時間短縮のためのデータ細分割によるストリーミング配信手法2011

    • Author(s)
      梅澤真弘,義久智樹,原隆浩,西尾章治郎
    • Journal Title

      日本データベース学会論文誌

      Volume: Vol. 10, No. 2 Pages: 7-12

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 放送通信融合環境における映像再生端末の受信状況を用いた放送データ決定手法2012

    • Author(s)
      義久智樹,西尾章治郎
    • Organizer
      情報処理学会研究報告 (システム評価研究会 2011-EVA-37)
    • Place of Presentation
      会津大学(福島県会津若松市)
    • Year and Date
      2012年3月30日
  • [Presentation] 放送通信融合型ストリーミング配信環境におけるデータの細分割による再生途切れ時間短縮手法2011

    • Author(s)
      梅澤真弘,義久智樹,原隆浩,西尾章治郎
    • Organizer
      電子情報通信学会技術研究報告(データ工学DE2011-39)
    • Place of Presentation
      立命館大学(京都府京都市)
    • Year and Date
      2011年8月3日
  • [Presentation] Interruption Time Reduction Methods by Predicting Data Reception for Streaming Delivery on Hybrid Broadcasting Environments2011

    • Author(s)
      Masahiro Umezawa, Tomoki Yoshihisa, Takahiro Hara, Shojiro Nishio
    • Organizer
      IEEE Pacific Rim Conference Communications, Computers and Signal Processing (PACRIM'11)
    • Place of Presentation
      University of Victoria (Victoria, Canada)
    • Year and Date
      2011年8月25日
  • [Remarks]

    • URL

      http://www-nishio.ist.osaka-u.ac.jp/~yoshihisa/

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi