2011 Fiscal Year Research-status Report
立体映像コンテンツによるユーザ体験の解明と効能を増進するための表現技術の開発
Project/Area Number |
23650054
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河合 隆史 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90308221)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 立体映像 / コンテンツ / ユーザエクスペリエンス / 表現 |
Research Abstract |
本研究課題では、立体映像(3D)コンテンツの表現技術と、3Dによるユーザエクスペリエンス(User Experience:UX)の認知・情緒的な側面を統合し、クオリティ・オブ・ライフ(Quality Of Life:QOL)創出への活用というイノベーションを実現するために、以下の三つのマイルストーンに挑戦することを目的とする。・ 3DコンテンツのUXを解明し、その付加価値を理解すること。・ 3Dの付加価値として、QOLの創出効果を計測・検証すること。・ 3Dの効能を、再現性をもって実装可能な制作技術を構築すること。本研究課題の実施方法として、UXやQOLを構成する生理・心理的コンポーネントと、コンテンツの特徴量との対応付けを行っていく。初年度の実績としては、基礎的な映像刺激に加え、ハリウッドの著名な3Dコンテンツを取り上げ、両眼視差量の分布を中心とした特徴量の分析を行った。分析に際しては、コンテンツ全体を対象としたマクロ分析と、特定個所を抽出したシーン分析の2種類のアプローチを行い、ストーリーテリングとの時系列的な相互作用も考慮して進めた。さらに、コンテンツ内での感情表現を意図したと考えられる(エモーショナル)シーンを対象とした、特徴量の分析も行った。具体的に、作品内のエモーショナルシーンを抽出・分類し、奥行き感の操作・制御と照合することで、特定の感情表現に対する演出傾向について、基礎的な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の推進にあたり、2D映像に対して人工的に両眼視差を付加する2D/3D変換技術を用い、基礎的な3D映像刺激を作成した。これにより、視差分布の操作が可能となり、特徴量を統制・制御した上で、実験的研究を行うことができた。結果から、3Dコンテンツ観察時の受容・体験における、奥行き感の操作・制御による生理・心理的な影響に関する基礎的な知見を得た。この成果は、以下の国際会議にて発表した。・ Depth enhancement of S3D content and the psychological effects, SPIE, Vol.8288 (2012)さらに、ハリウッドの映画・映像制作関係者による国際3D協会と連携することで、著名な3Dコンテンツを対象とした特徴量の分析を行うことができた。この一連の成果は、当初計画を上回っており、国際的にも貴重なデータ・知見といえる。当該成果は、2012年5月に韓国で開催されるJoint Symposium Japan Ergonomics Society and Ergonomics Society of Koreaをはじめとして、国内外で積極的な発信を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進にあたり、大きく以下の3点を方策として予定している。・ 分析対象とするコンテンツの増加と、得られた知見の活用方法の検討・ 特徴的なシーンの詳細な分析と、新たな表現手法の構築・ 特定の感情表現を意図した奥行き感の操作の考案と、有効性の検証さらに、観察者の学習や理解という、認知的な側面も考慮した表現技術の開発と応用にも、併せて取り組んでいきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使途としては、大きく以下の4点を予定している。・ 実験的研究の環境整備にかかる物品費・ 本研究課題の成果発表にかかる出張旅費・ 研究推進に必要となる海外研究者の招聘旅費・ その他、消耗品費
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Research Products
(2 results)