2012 Fiscal Year Research-status Report
図書館を学習課程の中心に置く:探究型学習の方法に関する教育実験と評価
Project/Area Number |
23650121
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
根本 彰 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90172759)
|
Keywords | 探究学習 / 卒業研究(高等学校) / 学校図書館 / 東京大学附属中等教育学校 / 学習方法 / カリキュラム |
Research Abstract |
東京大学附属中等教育学校において行われている卒業研究執筆という教育課程をテーマにして,これを図書館情報学的に支援することを中心に研究活動を行なっている。 卒業研究の執筆過程は,「テーマ選定(4年生冬)→グループ決定・研究開始(5年生春)→研究活動(5年生夏秋)→中間口頭発表(5年冬)→論文執筆(6年春)→論文提出(6年夏)→最終口頭発表会(6年秋)」となっているが,このなかで,最初の過程の4年生のテーマ選定と,5年生の研究開始時期,6年生が最後の過程が終わった時期を中心に検討を行った。 テーマ選定については、テーマ選定直前の1月の時期に大学院生のアドバイザーを入れるために,事前に研修を行い,また、アドバイスしたことおよび観察したことについて記録をつくり最終的にそれを分析した。 テーマが決まった生徒が研究を始めるにあたって必要な文献資料を同校の学校司書が選定することを行った。また、昨年度同様に論文提出後の生徒にアンケート調査を行った。 本年度は本校と類似の教育課程をもつ学校として,本校の卒業研究のモデルとなった茨城県つくば市の茗渓学園高校に加えて,近年高い進学率を誇る渋谷学園渋谷中学校・高等学校を訪問して担当者に話しを聞いた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卒業研究執筆は,同校の4年生の最後の時期から6年生の夏休み前まで1年半かけて取り組む一大事業である。このなかで,上記の3つの時点で図書館関連の研究支援を行うことによって,少しずつ教員のあいだにも支援者を増やすことができるようになっている。 昨年度見合わせた大学院生による「卒業研究アドバイザー」の配置について,本年度は4年生を対象に実施することができた。4年生の教員がすでにテーマ選定に向けた指導を行なっていたこともありスムーズに進めることができた。 また,図書選定についても生徒が選んだテーマについて司書が数冊の図書を選定して図書館に配置し,また,長期貸出を行う事業は2年度目に入ったことで生徒および教員の間にも図書館の存在が位置づけられようとしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度は最終年度であるので,これまでの研究過程を継続するだけでなく,まとめるための作業を行う予定である。 まず,従来から実施している5年生が各自選んだ研究テーマに関わる図書選定を実施する。これには,同校司書の支援をいただく。また,卒業論文が終了した6年生に対するアンケート調査も従来通り行う。執筆の6年生はこの研究が始まった時期から支援を受けていた人たちなので,一昨年度,昨年度の同じ調査と比較することによって,図書館による支援がどの程度の効果をもっていたのかについて明らかにすることができる。 また,3年間の研究成果を発表することを一つの目的とし,他の同様の探究型学習を実施している学校との比較や相互の意見交換の機会をつくることをもう一つの目的とした公開シンポジウムを実施する予定にしている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
附属学校図書室図書選定経費30万円,公開シンポジウム50万円,その他の経費10万円を使用予定にしている。
|
Research Products
(2 results)