2011 Fiscal Year Research-status Report
箱形書籍デジタルアーカイブ作成用撮影装置の研究開発
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23650124
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伴 周一 日本大学, 理工学部, 准教授 (20256811)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | デジタルアーカイブ / 書籍撮影装置 / 図書館情報 |
Research Abstract |
本研究では書籍を半開き状態で箱形の撮影ボックスに添えて書籍を撮影する装置の研究開発を行うものである。そこでこれまで装置試作・実証実験・検証検討を行っている. これまで試作してきたものを含めて,箱形書籍撮影装置が書籍与える荷重の分析および装置の最適化のためのデータ収集・解析が大きな課題であった.そこでこれまで試作したA4・マガジンサイズ対応の装置に加えて,400mm×400mm超の大型書籍に対応した箱形書籍撮影装置まで作成し書籍にかかる荷重について各部の測定を行った。その結果通常使用状態では設計通りほとんど荷重がかからず,補助部品(クッション材)をすべて取り去りもっとも荷重がかかる部分でも1~2kg程度であった。これは軽く手を添えた程度の加重であり,高い安全性が確認された。また大型装置については先行してモニターテストも実施した。その結果,開発と無関係の人間でもほとんど説明無しに撮影できた。またモニターテストで本装置を自由に使用してもらった結果,書籍ではなく1枚の資料の撮影にも向いているという重要な提案をうけた。これはまったく検討していなかった有益なことで,対応する研究開発が必要となり,今後の研究開発にとって重要なモニターテストとなった。これらの成果を第59回日本図書館情報学会研究大会において報告(縦横A3サイズに対応したデジタルアーカイブ作成用箱形書籍撮影装置の研究開発とモニターテストについて)を行った。 現在高品質な撮影環境を確保するため装置全体の素材設計を見直し一眼レフデジタルカメラへの対応した装置の試作・実験を行っている。この結果について2012年日本図書館情報学会春季研究集会にて報告(デジタルアーカイブ作成用箱形書籍撮影装置の高安定化・画像高品質化ための研究開発)を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では書籍を半開き状態で箱形の撮影ボックスに添えて書籍を撮影する装置の研究開発を行うものであり,書籍の縁を押さえて平面化する構造である.そのため撮影時に書籍にかかる荷重は重要な問題である.特に撮影室になる箱・デジタルカメラを奥のちょうつがいで支えているため,そこから最も遠い部分の箱の先端(書籍をに添える部分)に大きな荷重がかかる.そのためクッション材などの処置をほどこしている.そこで書籍の縁を押さえる部分・箱の先端で書籍を添える部分について荷重測定を行ったところ,クッション材があるときは小さすぎて荷重を測定できなかった。つまり通常使用時においては手で押した分のみ書籍に荷重をかけていることになる.クッション材を取り払ったとき(想定外事故が生じたとき)にもっとも荷重がかかる箱の先端でも1~2kg程度で手で書籍を押さえる力より遙かに小さい.このように体感ではなく安全な状態で撮影できることがわかった. 撮影装置の改良という点では,大型化についても試作・実験を行うことができ,24年度に実施を検討していたモニターテストも大型化装置について行うことができた.その結果も良好であり,使用者の視点から書籍ではなく1枚の資料での活用という新たな発想が生まれた。装置の強度改良・素材の見直しについては,あくまで一般的なプラスチック,アクリル,木材、アルミニウムや鉄などで試作し強度は重量などを検証している。現在軽量で強度の確保ができさらに安価な木材により装置を作成し実験を行っている.これは撮影画像の高品質化にもつながる(次回の日本図書館情報学会で報告を予定している). このようにおおむね順調であり過去の装置と比較するためすでにデジタル化できたものについても図書利用の少ない夏期期間に再度撮影をする予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在同じコンセプトで高品質化をめざした撮影装置の研究開発を行っている。あわせて撮影実験を実施していく。この基本方針は変更はない。また画像の高品質化をめざす装置の機能を比較するためこれまでデジタルした書籍も再度撮影を行っていく.またモニターテストも同時に実施する. データ処理・データ活用方法については,これまでにないスマートフォンやタブレットPCの普及により,タッチパネルに対応したデジタルデータの取り扱い・利用ツール・対応アプリケーションなどの検討が必要になってきている.これは新規開発ではなく現在あるものをどのように有効に活用していくのか利用者視点で検討する. これ以外にも装置としては種々アイディアが出てきているため,これらは一つ一つクリアしなければならないと考えている.一つは1枚資料の対応がある.現在のコンセプトである表面全体をガラスなどで押さえずに平面化を行い・簡単に交換ができる機能を両立した台座装置を検討している.もう一つ使用者の視線からわかった壊れやすい部分また壊させない改良方法などがある.さらに学会での討論の中で長尺資料の撮影について検討してほしいという提案があり,これも誰でも活用できる撮影方法がないか検討している. このように,デジタル化したい書籍資料の種類・要望は多数存在している.将来的には誰もができる撮影からデータ表示まで一貫したデジタルアーカイブ化の手法の確立をめざしている.そのための重要な1年間となると考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画は,(1)撮影装置本体作製にかかる材料費,(2)データ処理にかかるIT関係費,(3)実証実験および成果発表のための旅費の3つを予定している。 (1)のほとんどは,プラスチック材・木材・紙などの材料になるが,撮影装置の中には一眼レフデジタルカメラの購入も含まれる(このデジタルカメラは装置に取り付け,場合によっては一部加工することになる)。また操作性を上げるための表示用液晶パネルを本体に取り付けることも検討しているためこれらの購入も予定している。 (2)はできる限りおさえたいが,デジタルアーカイブを利用する観点からのデータのあり方を検討する必要があり,インターフェースとしての機器(タブレットタイプのPCなど)の購入が必要になる。 (3)はできるだけ種々の人に利用・モニターテストを行ってもらいたいことから,そのための交通費が必要となる。成果の報告についても積極的に行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)