2012 Fiscal Year Research-status Report
箱形書籍デジタルアーカイブ作成用撮影装置の研究開発
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23650124
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伴 周一 日本大学, 理工学部, 准教授 (20256811)
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Keywords | デジタルアーカイブ / 書籍撮影装置 / 図書館情報 / 電子書籍 |
Research Abstract |
平成24年度は書籍を半分開いた状態で撮影するというコンセプトのデジタルアーカイブ作成用撮影装置の研究開発において大きく2つの方向性について実験を行い成果を得た。 一つは撮影の高安定化・デジタルデータの高画質化が可能な装置の研究開発である。具体的には一眼レフカメラの使用に適した装置の開発と実験を行うことである。そして素材検討・基本設計の再考・実機の試作・実験を行った。結果として書籍にかかる荷重を4kg程度におさえ安定した撮影を行うことに成功した。反面本研究の装置の手軽さや軽快な動作は大きくそがれ大型化と重量増は避けられなかった。これについては2012年日本図書館情報学会春季研究集会にて成果を発表した。 もう一つは手軽さ・簡単化・小型化をめざした撮影装置の開発であり,持ち運べて事務机ひとつですべてが完了するような装置の研究開発である。具体的には構造を出来るだけ簡単化し,特に撮影面に低反射透明アクリル板を使用し全体を簡素化した。さらに一般的なデジタルカメラの焦点距離のほぼぎりぎりの360mmにおさえた。その結果一人で持ち運べるほど小型であり,軽量・軽快で誰でも簡単に撮影できる装置の開発に成功した。その成果を第60回日本図書館情報学会研究大会にて報告した。(なお本装置では1万3千頁をこえるモニターテストも実施しインタビューも行った。現在その結果を分析中である。)またこの装置では,タブレットPCやスマートフォンのカメラ機能の活用が容易であり,より手軽な装置への新しい可能性が見いだされた。 これらの成果により,比較的簡単なアプリケーション開発で,撮影を行うと同時にデータ処理を行い,撮影が完了すると電子書籍が完成することが可能になる。つまりデジタルアーカイブ作成用撮影装置から電子ブック化装置へと進化できるのである。次回学会でコンセプト・基本設計・問題点ついて報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では書籍を半分開いた状態で撮影するというコンセプトのデジタルアーカイブ作成用撮影装置の研究開発を行っている。このとき書籍を箱に添える構造をとることで書籍ののどの部分まで簡単に平面化でき・箱を撮影スタジオ化するという今までに無い発想の撮影装置である。そこで極めて簡単な構造であるが故にいくつものターゲットに対応する装置の開発が可能であり,一定の成果を得ている。そこで高品質な撮影を目指した装置と簡単化を目指した装置を両方の試作・実験を行い。その有用性・問題点について検討を行うことができた。とくに簡単化した装置の有効性は顕著であり,その結果の一つとして本装置を普通の高校3年生(2名)が19日間で1万3千頁を超える撮影やデータ処理を行うことができた(詳細は分析中)。これからも研究開発者では無い人間の実証実験・モニターテストを進めていく。 また今回書籍を平面化するために,書籍を半開きにする構造にくわえて軽く面を押さえるために低反射アクリル透明板の活用を行った(これまで書籍の縁を数ミリメートルだけ押さえる構造をとっていた)。その結果装置全体の簡単化と強度を増すことができた。また撮影装置そのものの操作性・安定性が向上する装置台座部分の改良がすすんだ。例えば頁めくりの際に本体を適当な位置に磁石で保持する構造や書籍の保持を磁石で行う構造を考案した。また背表紙を撮影するための専用ユニットなども大幅に改良できた。 以上のように装置そのもの開発が大幅に進んだ点と実証実験・モニタ-テストも順調に行えていることからおおむね研究は順調に進展しているといえる。さらにタブレットPCやスマートフォンのカメラ機能の有効活用の可能性がでてきたことで,本装置は図書館・資料館のみならず「家族のノートや写真や資料をあつめた家族の図書館」をも視野に入れた撮影装置となると考えている。この部分については想定以上である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は予定通り実証実験・モニターテストが中心となると考えている。まずは日本大学理工学部図書館の貴重で重要な書籍のデジタル化を本年度一気に進めたいと考えている。そのうえでさまざまな図書館・資料館・企業の資料室などで撮影・データ処理に利用してもらい撮影結果とインタビューを行う予定である。そのため同じ設計の装置を多数作成が必要になる。また実際に現場に出向かなくてもマニュアルビデオを見れば誰でも使えるように動画コンテンツを作成する事が急務である。これらのデータを収集し分析を行う。できるだけ普通の学生や事務員や主婦が実際の撮影を行いその結果どの程度の活用が出来るかなど分析を行いたい。可能ならば震災被災地での作業ができればと考え現在調査中である。最終的に製品化する予定であるため装置を作成するベンダーも調査している。 あわせてタブレットPCやスマートフォンのカメラ機能の活用をにより撮影と同時にデータ処理を行うアプリケーションを開発し,「書籍の撮影を行い・撮影が終わると電子ブックが完成している」というような「書籍撮影装置から電子ブック化装置へ」の進化を目指した研究を行う。これはより簡単になることから家庭で子供のノートやプリントなどを簡単にデジタル化できることから家族の図書館というコンセプトで使える装置に発展すると間がている。またアンドロイドOS搭載のデジタルカメラも存在することから,簡単化のみを目指した装置のみでは無くなり,高画質な撮影でも同様な処理をしながら撮影が可能になると考えている。つまりアンドロイドOSをベースとしたアプリケーション開発は次の重要なステップとなるのである。 以上のように実際の撮影実験とあわせてタブレットPCやスマートフォンを応用した装置のための研究も行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)