2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 壽一 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30172894)
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Keywords | イヌ / ネコ / コミュニケーション / 犬種差 / 社会的認知 / 側性化 |
Research Abstract |
第一の課題である遺伝的基盤に関する研究では、イヌとネコの行動特性を測定し、個体プロフィールと遺伝子の関連を調べた。ネコでは、イヌの結果と同様に、アンドロゲン受容体遺伝子の長いタイプを持つ個体の方が社交性スコアが高い傾向が示された。第二の課題である側性化に関する研究では、イヌはヒトの音声を聴取する際に左半球優位で処理する可能性が示唆された。第三の認知特性に関する研究では、イヌとネコの感覚刺激への反応性を利用した実験を行った。イヌでは、さまざまな犬種を対象にヒトに対する視線接触傾向について調べた。その結果、オオカミと遺伝的に近い原始的タイプの犬種の方が他の犬種よりもヒトに対する視線接触が維持されないことが明らかになった。ネコでは、音声刺激による馴化脱馴化法を用いて、飼い主と他人の声の弁別、ヒト音声刺激に含まれる感情情報の弁別、自分の名前とそれ以外の単語の弁別ができる可能性が示された。また、さまざまな注意状態でネコに呼びかけを行ったところ、ネコは飼い主の注意状態を弁別できる可能性が示された。 上記研究に加え、イヌとネコの近縁種を対象にした研究もおこなった。オオカミを対象にした観察では、同種内のあくびの伝染が確認された。ライオンを対象にした観察では、親和的行動が友好的な関係を維持する機能があること、仲直りによる葛藤解決はみられないことが明らかとなった。 さらにイヌネコと近縁ではないが、同様に家畜化の影響が考えられるウマとその近縁野生種であるシマウマを対象に研究をおこなった。ウマでは「不公平感」に関連して、半野性下の個体観察により、常に同時に互いをグルーミングし、ただ乗りを許さない仕組みをとっていることがわかった。飼育下で暮らすシマウマの集団移動を観察した結果、おとな個体が子ども個体よりも有意に多く集団移動を率いることがわかった。
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Research Products
(12 results)