2011 Fiscal Year Research-status Report
ゲシュタルト知覚モデルに基づくパラ言語情報処理系の構築と発達障害者の行動理解
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23650133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
峯松 信明 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (90273333)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ゲシュタルト知覚 / パラ言語情報 / 自閉症 / 音声の構造的表象 / f-divergence |
Research Abstract |
本年度行なった研究は下記の通りである。入力刺激の全体を「まとまり」として捉えることが苦手な発達障害(主には自閉症が検討の主な対象となる)の存在を鑑み,特に音声メディアを対象として下記の研究を行なった。1) 自閉症者のパラ言語情報処理(発声からその感情や意図を読み取る情報処理)の様子を,臨床を通して観察,モデル化し,彼らの障害を行動を通して理解する。2) 筆者らが従来より検討している音声を構造的に表象する(年齢や体格などに依存しない形で,即ち,話者不変に表象する。音響的には発声全体の「まとまり」を表象する)技術の精緻化を試みる。1) においては一年を通して,研究協力者である櫻庭京子博士(独協医科大学病院,医学博士)と,自閉症児童を対象とした音声コミュニケーションセラピーを開催し,意図や感情の読み取り能力の発達を経時的に観測,記録してきた。また保護者との面談を通して彼らの発達の様子のモデル化を試みてきた。2) に関しては,音声の構造表象は音と音との関係性(コントラスト)を話者不変に計測する手段であるが,このコントラストの時間的変化を表現する技術を構築し,単語音声認識実験にてその有効性を示すことが出来た。この技術を使ったパラ言語情報の抽出精度の向上については次年度に持ち越すこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね,計画通りに研究は遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は大きく二つに分かれ,1) 自閉症者のパラ言語情報処理(発声からその感情や意図を読み取る情報処理)の様子を,臨床を通して観察,モデル化し,彼らの障害を行動を通して理解する。2) 筆者らが従来より検討している音声を構造的に表象する(年齢や体格などに依存しない形で,即ち,話者不変に表象する。音響的には発声全体の「まとまり」を表象する)技術の精緻化を試みる。次年度の研究推進であるが,1) に関しては,これまで蓄積された知見をまとめ,書籍として発行することを検討している。特に,自閉症児童を対象とした意図・感情を読み取り,相手と適切にコミュニケーションを図るための step by step の教育法・指導法に関する書籍となる予定である。2) に関しては,様々な意図,感情を載せた音声を構造的に分析し,また,感情・意図識別をタスクとして,音声の構造的表象の有効性を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度同様,言語セラピーの謝金と,音声の構造的表象の技術的精緻化が大きな研究費の用途となる。前者に対しては,iPad などの携帯端末を使った簡単なスクリーニングテストの開発も考えており,後者に関しては幾つか新たな音声データベースの購入も考えている。
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Research Products
(4 results)