2013 Fiscal Year Annual Research Report
深海生物オオグソクムシにおける、心的イメージを利用した巣穴パズル解決の試み
Project/Area Number |
23650134
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森山 徹 信州大学, 繊維学部, 助教 (20325898)
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Keywords | オオグソクムシ / 心的過程 |
Research Abstract |
前年度までに実績の得られたゴルフボール底質の移動実験の結果を、画像解析ソフトを制作し(ArkOrk社製)、解析した。実験における個体の位置や移動の向きを定量的に解析するために、撮影動画における個体の各部位(頭部、脚部、重心等)を、当ソフトによって座標化した。座標化によって個体の移動ベクトルを得たことで、各個体の運動の様子を、停止、移動、遊泳に分類することができた。また、チューブの座標と合わせることで、チューブ内での停止と移動も区別することができた。ボール内の掘り進みは、通常の移動に比べ十分遅い移動として区別できた。以上のように行動を分類した結果、チューブを置いた場合と置かなかった場合、前者でのチューブの掘り進みの頻度が、後者でのそれに比べ有意に高いことがわかった。また、それ以外の行動の頻度には有意な差がないこともわかった。以上の結果は、チューブの配置はオオグソクムシ個体の行動に外的な影響を与えることなく、掘り進み行動の内的な動機づけを高める効果を持つことを意味する。この内的変化を定量化するため、個体の心拍の変動を、PC表示タイプのオシロスコープで観察した。予備実験の結果、心拍を安定的に計測できることが確認できた。特に、行動の種類が変化する直前には、心拍の周波数が低くなり、ときには数分間停止することが確認できた。ただし、ボール底質の掘り進みの際に心拍を計測するには、より安定的な電極の固定法を考案しなくてはならないことが課題となった。以上の成果は、オオグソクムシが心的過程に相当する行動決定の内的過程をもつことを支持し、今後の無脊椎動物の心的過程に関する研究を推進する重要な足がかりとなると考えられる。
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Research Products
(1 results)