2011 Fiscal Year Research-status Report
モデル選択法による統計的推論へのデータ前処理組み込みに関する研究
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23650148
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
石黒 真木夫 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 名誉教授 (10000217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 悟 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70158963)
種村 正美 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 名誉教授 (80000214)
三分一 史和 統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (30360647)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 統計的課題の分布 / 統計的方法の分布 |
Research Abstract |
統計教育分野の専門家の助言を求め、これを参考にしつつ英米あるいは国内の大学で標準的に使われている統計学関連テキストを収集し、その内容の分析を行った。収集した文献はスポーツデータ解析から経済データ分析、医学・生理学関連の問題を扱ったものから、非統計学者向けの啓蒙に力点そ置くものまで多岐に渡り、統計的問題意識の所在を探る研究の基盤を構成するものとして適切なものとなった。これらの文献で扱われている問題を統一的視点で位置づけ、「統計的課題の分布」を把握することを目的とする「統計的解析課題と方法に関する調査用紙(proto type)」を用意した。調査の項目はQ0 課題の出典、Q1 解析の目的、Q2 データ、Q3 方法、Q4 結論、Q5 利用された事前情報、Q6 課題の現実性/重要性、07 モデリング+情報量規準による解析の可能性、の計8項目である。これまでの分析で、統計学的な問題への課題意識の分布と統計的方法論の分布にずれがあることが浮かび上がってきており、統計学教育の現場で使われているテキストは当然ののことながら、統計的方法論に力点がおかれた叙述になってえおり、日常的な「素朴」な問題意識の定式化にあたって問題を方法論の枠組みに押し込むことによってゆがめているおそれなしとしないことが観察された。今年度の研究によって統計教科書以外に統計的課題を探すことの必要性も見えてきたということができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主として、入手すべき資料の把握と入手にやや手間取り、研究場所が異なる研究代表者、分担者間での資料共有の態勢を整えるのに予想以上の時間を要したためであるが、研究立ち上げに重要な初年度であるにもかかわらず研究費の分割支給が急遽実施されたことにより研究計画の大幅な見直しが必要となったことの影響も甚大である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 収集した資料で扱われている検定法の例題にモデル選択法を適用し、双方から得られる結果を比較する。2. 現実のデータに検定法の例題にモデル選択法を適用しを適用し、それぞれの方法の特徴を定性的、定量的に把握する。3. 標準的に使われている統計量をデータ前処理としてモデル選択法に組み込む。具体には研究分担者との緊密な連携のもとに医学統計学の教科書から、例題を抽出して赤池情報量規準を利用したモデル選択法による結果との比較を行なう。また逆にモデル選択法の教科書で扱われている例題に検定法を適用しての結果の比較も行う。これらの経験をつんだ後に、問題探索の範囲を医学・生理学分野の学術雑誌、特に大脳生理学など脳研究関連の雑誌にまでひろげ、現代における統計的解析手法の適用対象と解析者たちの問題意識の所在を把握し、典型的な事例でデータが入手可能なものを選び出し、実問題におけるモデル選択法と検定法の比較をおこない、まずはさまざまな統計的な課題の世界における「住み分け」の実態を把握し、結果をサーベイ論文の形にまとめ、医学・生理学系の雑誌への掲載を目指す。また、23年度の研究で必要と考えられるに至った、統計学教科書以外にも統計的課題を探すことも開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究連絡用旅費、資料整備/整理費、資料蓄積用機器整備および研究会開催費として使用する。
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