2011 Fiscal Year Research-status Report
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23650433
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深田 宗一朗 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20432445)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 交際情報交流 |
Research Abstract |
若齢C57BL/6とDBA/2マウスからSM/C-2.6 (筋衛星細胞特異的なモノクローナル抗体) 陽性、CD31陰性、CD45陰性分画に含まれる筋衛星細胞をFACS Aria IIを用いて単離し,Affymetrix microarrayを用いて網羅的な遺伝子発現解析を行った.高齢マウスの筋衛星細胞も単離し,遺伝子発現解析に用に細胞をプールしているが数が十分確保できていない.また,SNPデータベースを組み合わせた解析を予定しているが,現在のところは特定の遺伝子同定にはまだ至っていない. 高齢,若齢のC57BL/6とDBA/2マウスの解析を行った結果,高齢DBA/2でのみ顕著な筋重量低下が観察され,また筋衛星細胞数の減少も観察できた.しかしながら,筋再生後にできる筋線維の大きさは若齢・高齢DBA/2で大きな違いが無かったことから,DBA/2の筋衛星細胞の増殖はその週齢に関わらずC57BL/6よりも低く,筋線維構築能が弱い事が示唆された.実際申請者は若齢のC57BL/6とDBA/2の筋衛星細胞の増殖アッセイを行った結果,DBA/2の筋衛星細胞の増殖能はC57BL/6よりも低い事を明らかにしている。よって若齢C57BL/6とDBA/2の筋衛星細胞の遺伝子発現の違いから筋衛星細胞の増殖に関わる因子の同定が可能ではないかと考え,in vivoの活性化筋衛星細胞の遺伝子発現解析も行い,こちらもSNP解析を組み合わせることで,目的の遺伝子を抽出することを現在試みている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に、若齢C57BL/6マウスとDBA/2マウスの静止期筋衛星細胞、活動期筋衛星細胞の網羅的遺伝子発現解析は終了し、SNPデータベースを用いた遺伝子の抽出に着手している。高齢マウスの遺伝子発現プロファイルまでH23年度中に作製できれば、より達成度は高かったが、高齢DBA/2マウスから筋衛星細胞が予想よりも採取する事ができなかったことが残念であった。ただ、今年度構築した遺伝子発現プロファイルから、筋衛星細胞の維持や、増殖に関わる因子の同定につながる事は期待出来る。Bioinfomaticsの専門家に遺伝子発現プロファイルとSNPデータベースを組み合わせた解析法を近日中に協力して頂けることになったのも、本課題を遂行する上で大きなアドバンテージになった。 さらに、同定遺伝子のin vitro機能解析にむけたvirus感染実験、感染細胞の分取、遺伝子発現変化の解析等の実験系を当研究室で実施できるシステムを構築できた。これにより、同定遺伝子の機能解析が迅速に行えると期待できる。また、将来的な同定遺伝子の機能解析を行う上で、非常に有用なPax7-CreERT2マウスの搬入ならび、実験系の確立を行った。このマウスを用いることで、好きなタイミングで筋衛星細胞においてのみ目的遺伝子を欠損することができる。このように、本年度で遺伝子同定後の解析システムをすべてセットアップできたことは大きな進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
Bioinfomatics解析を進め、目的の遺伝子の抽出を急ぐ。実際にどれほどの候補遺伝子がリストアップされるかは未知であるが、SNPデータベースを用いることで、直接的な原因遺伝子の同定を目指す。申請者は今回の課題とは別のアプローチで筋衛星細胞の維持に働く因子を同定しており、その遺伝子の欠損マウスは40週齢で早期老化を呈することを明らかにしている。こちらの解析も同時進行ですすめ、老化にともないなぜ骨格筋重量・機能が低下していくのか、その本質的な問題に対してアプローチする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
老齢マウスの筋衛星細胞を採取するために、C57BL/6およびDBA/2マウスを飼育しているので、餌・床敷等の購入に使用する。また、同定遺伝子のクローニングおよびウイルス感染実験を行うために、分子生物学的試薬(シークエンス費用、遺伝子クローニング用プライマー,ベクター,ライゲーション試薬等) ・ 細胞培養試薬(培地・トランスフェクション試薬・サイトカイン等)の購入を必要とする。また、老齢マウス由来の筋衛星細胞の網羅的遺伝子発現解析を行う予定であり、若齢マウスと同じAffymetic社のmicroarrayを用いる。そのための費用も必要である。さらに同定遺伝子の蛋白での発現や発現場所を同定する目的で、抗体購入費用も必要である。
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