2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23651009
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
伊藤 公紀 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (40114376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 博 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (70236628)
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Keywords | 太陽風 / 北極振動 / オゾン / aa指数 / 気温 / QBO |
Research Abstract |
太陽活動変動の気候影響は、事実確認の段階から機構究明の段階に入りつつある。本研究では、我々が最近見出した太陽風パラメータと地表気温および北極振動との相関を手がかりとして、太陽磁気活動-気候相関のミッシングリンクに迫ることを目指した。本年度は、前年度見出した気温データと太陽風パラメータとの相関の原因となる要因について検討した(伊藤)。また、太陽活動とカップリングして地球気候に大きな影響を与えていると考えられる北極振動について、新規解析を行った(田中)。 成層圏気温と太陽風パラメータの相関を生む原因として、オーロラジェット電流による加熱、太陽風粒子降着による化学的作用などを候補とした。その中で、成層圏オゾンデータを利用した太陽風粒子降着についての検討が可能と判断された。そこでオゾン量の全球グリッドデータを用い、太陽風との相関を調査した。なお、気温との相関を得る際に大きな影響を持つQBO(赤道域成層圏準2年振動)を考慮した。その結果、太陽風とQBOの位相はオゾンの全球量と分布に影響していることが判明した。これにより、太陽風粒子が電離圏で生成するNOxが成層圏に運ばれ、オゾンを減少させることにより、成層圏の気温を変調するという機構を提案できた。 北極振動の成因については既に、順圧モデルの採用によって自由振動的な特性を見出し、太陽風の影響も取り込める可能性を示唆した。本年度は、3次元傾圧モデルを構築し、北極振動と低緯度のジェット構造との相互作用を検討した。その結果、傾圧的不安定擾乱モードは、北極振動の正・負によって変調を受け、またそれにより北極振動は正のフィードバックを受けることが分かった。 これらの結果は、太陽-電離圏相互作用(「宇宙天気」)と、太陽-成層圏・対流圏相互作用(「宇宙気候」と「宇宙気象」)のつながりの現象的な実態を明らかにする手がかりとなるものである。
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Research Products
(17 results)