2013 Fiscal Year Annual Research Report
銀ナノ粒子の魚類生態毒性に関する網羅的な詳細リスク評価
Project/Area Number |
23651028
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
柏田 祥策 東洋大学, 生命科学部, 教授 (20370265)
|
Keywords | ナノマテリアル |
Research Abstract |
遺伝子レベルでの毒性発現解明のために,DNAマイクロアレイ解析を行った。メダカ受精胚ステージ21からSNCs 0.05 mg/Lで48時間曝露し,SNCsの遺伝子発現に対する影響を網羅的に調べた。そこから哺乳動物で既知である形態形成に係る5つの重要な遺伝子,ctsl,tpm1,rbp,atp2a1およびhoxb6bを抽出した。これら5遺伝子の発現への影響を,ステージ21から孵化まで,SNCs 0.05 mg/Lで曝露し,定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)を用いて再確認した。これまで高濃度のSNCs曝露で見られたような形態形成異常の表現形を得るために,発現減少の遺伝子でsiRNAを,1細胞期の受精胚にマイクロインジェクションし機能解析実験を行った。毒性発現メカニズム解明のため行ったDNAマイクロアレイの結果,118の遺伝子が発現上昇,117の遺伝子が発現減少した。また,それらの遺伝子を機能別にグループ分けしたところ,発現上昇,発現減少ともに上位4グループを,タンパク質合成,細胞周期,シグナル伝達および転写が占めていることがわかった。そこから形態形成に係る5つの遺伝子を選び,定量的リアルタイムPCR法を行った結果,対照区と曝露区を比較して,ctslおよびtpm1は発現抑制,atp2a1およびhoxb6bは発現昂進, rbpでは顕著な差は見られなかった。このqRT-PCRの結果から,DNAマイクロアレイ解析結果を支持する強固なデータを得た。そこで,DNAマイクロアレイ解析で発現抑制した遺伝子において,siRNAを用いた機能解析実験を行った。その結果,ctsl,tpm1およびrbpの3遺伝子に対するsiRNAをインジェクションした個体で,頭部および眼の形態形成異常,脊索の湾曲,血栓および虚血の個体を得た。この表現型の異常が,高濃度のSNCsで曝露した際の表現型に類似している点から,ctsl,tpm1およびrbpの3遺伝子がSNCsの標的遺伝子である可能性が高いことが明らかになった。
|
Research Products
(4 results)