2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本の沿岸漁業制度の現状と将来:IADフレームワークによる制度分析
Project/Area Number |
23651033
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
阿部 高樹 福島大学, 経済経営学類, 教授 (40231956)
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Keywords | 沿岸漁業制度 / IADフレームワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、E.オストロム氏らが展開してきたIADフレームワーク(Institutional Analysis and Development Framework)によって日本の沿岸漁業を分析することであり、①日本の沿岸漁業制度の機能の把握;②IADアプローチによる評価;の計画で開始した。研究開始直前の東日本大震災によって三陸沿岸漁業は大きな打撃を受け、復興のあり方に関する新しい議論や実態が進行し、これらは沿岸漁業のあり方をテーマとする本研究において多くの示唆を与えるものであった。 平成23年度には漁業地区の実体把握を行いつつ日本の漁業制度を考察し、平成24年度には、先駆的沿岸漁業改革事例の調査を行いつつ、IADフレームワークによる分析に本格的に着手した。 平成25年度も研究会等での情報収集に努めつつ、研究協力者らと論文執筆にあたった。IADフレームワークにおける8つのDesign Principle(世界の共有資源管理事例から抽出された成功要因)に注目し、これらの視点で日本の沿岸漁業資源管理を分析した。現段階の到達点を、論文「Design Principles for Managing Postwar Coastal Fisheries Commons in Japan(The Economic Society of Fukushima University Discussion Paper Series No.89)」にまとめている。日本の沿岸漁業の特徴として、政府関与が現場の自主性を阻害しない形で行われていることの重要性を主張するものである。 現在、上記論文は改訂を加え専門誌に投稿中である。今後は、当論文のブラッシュアップを図るとともに、IADフレームワークそれ自体の研究資料や進行する沿岸漁業改革に関する調査資料をもとに、より研究を深化させる計画である。
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