2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23651043
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松岡 俊二 早稲田大学, アジア太平洋研究科, 教授 (00211566)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 制度論 / 地球持続性学 / 社会的能力 / 環境イノベーション / 震災復興 |
Research Abstract |
本挑戦的萌芽研究「制度論アプローチによる地球持続性学の構想」は、社会科学における制度論研究と国際開発協力における能力構築論とを融合・進化させることにより、途上国と先進国が持続的に共存しうる国際開発協力のあり方を研究することにより、持続可能な制度形成という観点から地球持続性学を構築することを目的としたものである。 上記の目的を達成するため、交付申請書では2011年度は以下の2点を目的とした。(1)能力構築の議論およびD. NorthやE. Ostromなどの途上国の経済発展や開発援助における制度研究に関する文献の詳細な調査研究を行い、両者の研究・議論を突き合わせ、両者の融合・進化の方向性を明らかにする。(2)以上の理論的な検討を踏まえ、国際開発援助や国際環境協力分野の実務家や研究者によるワークッショップなどを開催し、能力構築論と制度研究の整理・分析・評価を行い、両者の融合・進化のあり方について専門的検討を行う。その後、2011年3月11日の東日本大震災と福島原発事故を受け、制度論および能力形成論のアプローチから地球持続性学を構築するため、2011年度活動計画について、以下のような2点にも取り組むこととした。(1)社会的能力形成と制度変化の観点から震災復興プロセスの分析・研究を行う。(2)地球持続性へ向けた震災復興を構想し、今後の日本や世界の方向性を示す環境イノベーションについて研究する。 以上の目的と計画を踏まえ2011年度は以下の2点の研究活動を行った。(1)制度論と社会的能力形成アプローチから環境イノベーションへの研究としては、シュンペーター的な非連続なイノベーション論と制度論の経路依存性に基づく連続的なイノベーション論とが対立してきたが、本研究では社会的なイノベーションという観点から両者の議論の統一を試みてきた。(2)上記の観点を生かして震災復興研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本挑戦的萌芽研究「制度論アプローチによる地球持続性学の構想」は、社会科学における制度論研究と国際開発協力における能力構築論とを融合・進化させることにより、途上国と先進国が持続的に共存しうる国際開発協力のあり方を研究することにより、持続可能な制度形成という観点から地球持続性学を構築することを目的としたものである。 2011年3月11日の東日本大震災と福島原発事故を受け、制度論および能力形成論のアプローチから地球持続性学を構築するため、2011年度活動計画について、以下のような2点にも取り組むこととした。(1)社会的能力形成と制度変化の観点から震災復興プロセスの分析・研究を行う。(2)地球持続性へ向けた震災復興を構想し、今後の日本や世界の方向性を示す環境イノベーションについて研究する。 以上の目的と計画を踏まえ2011年度は以下の2点の研究活動を行った。(1)制度論と社会的能力形成アプローチから環境イノベーションへの研究としては、シュンペーター的な非連続なイノベーション論と制度論の経路依存性に基づく連続的なイノベーション論とが対立してきたが、本研究では社会的なイノベーションという観点から両者の議論の統一を試みてきた。(2)上記の観点を生かして、環境イノベーションを可能にする社会的規制のあり方に焦点をあて震災復興研究を、特に福島原発事故と安全規制に焦点を当てて行った。 本研究は、持続可能な制度形成という観点から地球持続性学を構築することを目的としており、3.11東日本大震災と福島原発事故を踏まえて、活動計画の焦点を環境イノベーションと社会的規制のあり方に焦点を当てて、活動を行ってきた。2011年度の研究活動により、環境イノベーション研究の基礎的な分析フレームを明らかにする事ができ、こうした環境イノベーションを促進する社会制度のあり方を、社会的規制のあり方として明確に出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
本挑戦的萌芽研究「制度論アプローチによる地球持続性学の構想」は、社会科学における制度論研究と国際開発協力における能力構築論とを融合・進化させることにより、持続可能な制度形成という観点から地球持続性学を構築することを目的としたものである。 2011年3月11日の東日本大震災と福島原発事故を受け、制度論および能力形成論のアプローチから地球持続性学を構築するため、研究計画について、以下の2点に取り組むこととした。(1)社会的能力形成と制度変化の観点から震災復興プロセスの分析・研究を行う。(2)地球持続性へ向けた震災復興を構想し、今後の日本や世界の方向性を示す環境イノベーションについて研究する。 2011年度の研究活動により、技術発展研究や環境イノベーション研究における連続性論と非連続性論との統一的な把握を可能とする分析フレームの可能性を、社会的規制論との関係で明らかにした。 今後の研究の推進方策としては、制度論と社会的能力論アプローチから、環境イノベーションと社会的規制との関係を理論と実証の両面から研究することとしたい。具体的には、自動車産業、電機電子産業、エネルギー産業などを事例として、環境イノベーションにおける連続的変化と非連続的変化のプロセスや条件・制度について研究を行う。また、震災復興研究における具体化としては、福島原発事故を事例として社会的規制(安全規制)とイノベーションとの関連について調査研究を行う。以上の活動により、制度、社会的能力、地球持続性の関係性について考察を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の目的である「制度変化と社会的能力形成アプローチによる地球持続性学の構築」を達成するため、2012年度研究においては、環境イノベーションと社会的規制との関係を理論と実証の両面から研究することとしたい。具体的には、自動車産業、電機電子産業、エネルギー産業などを事例として、環境イノベーションにおける連続的変化と非連続的変化のプロセスや条件・制度について研究を行う。また、震災復興研究における具体化としては、福島原発事故を事例として社会的規制(安全規制)とイノベーションとの関連について調査研究を行う。以上の活動により、制度、社会的能力、地球持続性の関係性について考察を行う。 以上の研究計画を遂行するため、2012年度の研究費使用においては、以下の使用計画を予定する。 (1)技術進歩、環境イノベーション、社会的規制、震災復興などに関連する文献資料に係る物品費(25万程度)。(2)資料収集などに関連する国内調査旅費(30万程度)。(3)資料収集やデータ整理などに関するRA人件費(30万程度)。(4)資料整理やデータ整理に関連する文房具や論文投稿費など(5万円程度)。
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Research Products
(7 results)