2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒートアイランド現象緩和に係わる建築物全面緑化のための自立型栽培担体の開発
Project/Area Number |
23651062
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小川 幸春 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (00373126)
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Keywords | 環境技術 / 環境対応 / 人間生活環境 / 建築物緑化 / 高分子構造・物性 |
Research Abstract |
本研究は,高層建築物の全面緑化などを容易に実現するための自立型植物栽培用担体の開発を目的とする.具体的には,物質の遅延透過性・保水性を持ち,植物の生育に必要な栄養素を含んだゲル状物質積層体による栽培担体の開発を目指している.平成25年度は,繊維系物質を混合して成形したゲル状物質モデルに溶出性の大きいグルコースなどを添加した際の物質浸透特性,力学特性の関係を検討した. 【材料および方法】基準ゲル化剤としてこれまで同様寒天粉末を用いた.繊維系物質試料として,粘性の異なる可溶性物質(ペクチン,アルギン酸ナトリウムなど),不溶性物質(リグニン)を用いた.溶出試験用物質試料にはD‐グルコースおよびデンプンを用いた.それらを混合した寒天ゲルは円柱状に成形し,力学的特性値としてかたさおよび付着性を求めた.また溶出性を検討するため37℃に保持した蒸留水中に試料を浸漬し,上澄み中のD‐グルコースを測定した. 【結果および考察】可溶性物質を添加した寒天ゲルのかたさや付着性は,添加濃度の増加に伴って増加した.一方,不溶性物質を添加した場合は添加濃度に関わらず変化しなかった.分子量で粘性の異なるアルギン酸ナトリウムを添加すると,濃度の増加に伴いかたさや付着性も増加した.以上の結果から,添加する繊維系物質の粘性が寒天ゲルの力学的特性に関与していることが示された.また高粘性・可溶性の繊維系物質を混合するとD‐グルコースの溶出が抑制される一方で,デンプンへの影響は比較的小さいことが示された.このため,ゲル素材に繊維系物質を混合して成形すれば低分子水溶性成分の浸透性,拡散性を制御しうることが明らかとなった. 研究期間全体を通した成果として,繊維成分を添加すればゲル状物質の力学特性および物質溶出性を制御可能なことが示された.以上の結果から,ゲル状物質を用いた栽培単体の実用性が検討可能となった.
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