2012 Fiscal Year Annual Research Report
発熱誘導DDS用パーソナルバイオナノ粒子の創成と機能評価
Project/Area Number |
23651112
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
岩堀 健治 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 研究員 (90467689)
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Keywords | ナノ粒子 / 磁性ナノ粒子 / 温熱効果 / フェリチン / バイオテンプレート |
Research Abstract |
本研究は直径 12nm の球殻状タンパク質であるフェリチンタンパク質が保持する直径 7nm の内部空洞に外部刺激により発熱するナノ粒子を作製する事で、ナノ粒子の温熱効果を利用した特にガン治療に有効な新規 DDS システム構築を目指したものである。 本研究ではまず、フェリチン内部に温熱効果を発揮する酸化鉄磁性ナノ粒子の作製を行った。硫酸アンモニウム鉄を鉄源として馬肝臓由来フェリチン内部へ酸化鉄ナノ粒子の作製条件検討を行った結果、90% 以上のコア形成率で効率良いナノ粒子作製が可能となった。しかし、作製されたナノ粒子は元素分析によりフェリハイドライト(5Fe2O3・9H2O) であることが明らかになったため、再度、反応溶液の温度の上昇による鉄酸化促進と N2 バブリングを併用した改良ナノ粒子作製法を開発した。本法により作製された鉄ナノ粒子はネオジウム磁石への吸着が肉眼で観察され、XRD や EDX 分析により、マグネタイト(Fe3O4) であることが確認された。 最終年度は作製された上記粒子に対して高磁場環境下での発熱量測定に挑戦しているが、残念ながら未だ発熱現象を観察できていない。高分解能 TEM により作製ナノ粒子の結晶構造の観察の結果、作製したナノ粒子は一つ以上の小さな微粒子結晶の集まりである多結晶状態になっていることが確認されたたため、これが一つの原因ではないかと考えている。 また、本研究においては酸化鉄ナノ粒子以外にも、作製条件の詳細な検討によりフェリチン内部へ CuS 及び FeS, Ta の磁性ナノ粒子の作製にも成功し、現在これらの元素分析を行っている(論文投稿準備中)。さらに最近、より DDS に適しているヒトの心臓由来のフェリチン内部への酸化鉄ナノ粒子の作製にも成功した。今後は作製したナノ粒子の元素分析及び発熱実験を行う予定である。
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Research Products
(4 results)