2011 Fiscal Year Research-status Report
ゲルを用いた金属型カーボンナノチューブの単一構造分離
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23651122
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 丈士 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究グループ長 (30415707)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / ゲル / 分離 / 金属型 |
Research Abstract |
平成23年度は、単一構造の金属型カーボンナノチューブを得ることを目的に実験を行った。カーボンナノチューブをカラムに吸着させたのち段階溶出方法と、大量のカーボンナノチューブ分散液を直列に連結したカラムに投入することによる分離を行ったが、顕著な分離を認めることが出来なかった。一方で、デオキシコール酸で分散したカーボンナノチューブを用いて、ゲルに対する吸着と脱着により、カーボンナノチューブとその他不純物(アモルファスカーボンなど)を分離できることを見出した。興味深いことに、分離した金属型カーボンナノチューブを出発材料にして、このデオキシコール酸を用いた系で分離を行うと、金属型カーボンナノチューブとその他不純物の分離に加えて、分離前後で金属型カーボンナノチューブのカイラリティ分布が変化することを明らかにした。本手法を最適化することで、単一構造の金属型カーボンナノチューブの取得に繋がる可能性がある。また、金属型・半導体型分離が可能な新たなゲルと界面活性剤の組合せも見出した。 一方、ゲルを用いた金属型・半導体型カーボンナノチューブの分離原理解明に関する研究も行った。これまでに行ってきた金属型・半導体型カーボンナノチューブの分離に使用出来る界面活性剤のスクリーニングを行った結果の解析から、コール酸やデオキシコール酸の様な平面状分子でカーボンナノチューブに面で強固に結合し、非常に高い分散能を持つ界面活性剤と異なり、ドデシル硫酸ナトリウムを筆頭とする分離に使用可能な直鎖アルキルの疎水基をもつイオン性界面活性剤は、カーボンナノチューブに対する親和性があまり高くなく、そのあまり高くない分散能が金属型と半導体型のカーボンナノチューブの違いを見分けることを可能としているというモデルを導いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一構造金属型カーボンナノチューブの分離に向け、デオキシコール酸を用いたカイラリティ分離の他、新たなゲルと界面活性剤の組合せを発見しており、次年度にさらなる高精度分離に繋げることが可能である。また、計画通り、分離原理に関する知見も得られており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画になかった新たな分離現象の研究を優先して進めた結果、消耗品費を多く必要とする別の実験が後回しとなったため、次年度に繰り越す予算が多くなった。H24年度はこれらの実験のほか、最終目標のでデバイス作製までを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に引き続き、単一構造金属型カーボンナノチューブの分離と金属型・半導体型の分離原理に関する知見を得るための研究用消耗品と成果発表のための旅費に使用する。
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Research Products
(3 results)