2011 Fiscal Year Research-status Report
タンブリング液晶のせん断特性とマイクロ力学センサの開発
Project/Area Number |
23651140
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
蝶野 成臣 高知工科大学, 工学部, 教授 (20155328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 知宏 高知工科大学, 工学部, 准教授 (60309721)
楠川 量啓 高知工科大学, 工学部, 教授 (60195435)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロナノデバイス / 液晶 / 圧電効果 / 力学センサ |
Research Abstract |
平成21~22年度に行った研究結果より,液晶の分極値は2枚の壁面での分子配向角の差に依存することがわかった.つまり単純せん断流中で,ある一定方向に定常配向する通常の液晶(アライニング液晶)では満足な圧電効果は得られず,せん断流中で回転し続けることで大きな配向角を発現するタンブリング液晶こそが,液晶圧電体の有力候補であることを見いだした.本研究では,タンブリング液晶にせん断流を印加した際に発生する分極値の時間変化を数値計算と実験の両面から調べることで,タンブリング液晶が歪み,歪み速度,および力を計測するセンサに応用可能かどうかを解明することを目的とする.本研究が一定の成功を収めれば,自在形状のマイクロ力学センサが実現でき,超精密化,超小型化が要求されている次世代マイクロロボットや,精密医療機器等の高度化を加速できる.平成23年度の実施内容と得られた成果を以下に示す. タンブリング液晶として,4'-Octyl-4-biphenylcarbonitrile(8CB)を用い,この粘性係数を電場印加装置を具備した粘度計で測定した.続いて,回転系デバイスを対象として,同心二重円筒間の液晶流れを計算するためのプログラミングを行った.従来構築した各種プログラムを利用することで,プログラミングの効率化・省力化を図った.せん断速度,および円筒の寸法を広範囲に変化させ,分子配向分布と円筒間速度分布を求めた.また装置の概略設計を行った.最後に,日本機械学会年次大会(東京),日本流体力学会年会(東京),数値流体シンポジウム(大阪)で成果発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究計画・方法」通りに進んでいる.すなわち平成23年度の計画は,タンブリング液晶の粘度測定と,二重円筒間の液晶流れを数値的に予測できるプログラムの構築であった.下記の研究成果の「雑誌論文」に挙げているように,興味深い計算結果を得ることができたので論文投稿を行い,掲載決定となった.
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Strategy for Future Research Activity |
二重円筒の間隙が異なるデバイスを数種類製作し,内筒を回転させて円筒間の液晶にせん断を付与し,円筒間の電位差をナノボルトメータで測定する.また,内部の分子配向状態と圧電効果との関係を定量化する.さらに実測データを計算結果と比較検討する.International Congress on Rheology(ポルトガル),International Liquid Crystal Conference (ドイツ)で成果発表を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度に行った粘度測定では,用いた液晶の量が予定よりも少量であったので,約9万円(H23年度の総額120万円)の繰越しとなった.この額は,H24年度に予定しているデバイスの製作費と,消耗品である液晶,配向膜,ガラス器具等の購入に充当する.また今年度は国際会議に出席するため,外国旅費として40万円を計上している.
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Research Products
(5 results)